学校教育法の規定によると、学生は90分×15回の授業を履修すれば単位を取得できる。しかし、予習・復習といった自主学習も単位取得要件となることを忘れがちだ。

 学校教育法の「大学設置基準」によると、「講義及び演習については、十五時間から三十時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて一単位とする」、「実験、実習及び実技については、三十時間から四五時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて一単位とする」としている。この基準を、桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科の山本眞一教授は「年間の取得単位数の上限の定めはない。つまり、1単位を取るのに45時間の勉強が必要ということになる。1日は睡眠時間を入れても24時間、月曜から土曜まで入れても1週間に144時間しかない。年間に取れる単位数は30から40単位までがせいぜい」と話す。学外での自主学習と合わせて初めて「単位取得」なのだ。日本学生支援機構調べの「授業の予習・復習時間(規模別・設置者別)」によると、1週間あたりの私立大の学生が予習・復習に充てる時間は、およそ20%が0時間だった。また40%が1から5時間と、半数が「90分×1週間あたりの授業数」を下回る。国公立大の学生でも似た数字が並び、「90分×授業数の学習時間」には及ばないと判明。

 学校教育法の定める1単位あたり45時間の勉強には及んでいない学生の単位取得。看過できない事態だが、大学設置基準本来の勉強時間を取れている学生だけが石を投げるべきだろう。単位取得について今一度、大学と学生の双方が認識する必要がある。