「講義ノート」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。テスト期間中、立命館の衣笠キャンパスを東門から出てすぐの販売所で、一般教養科目の授業内容や、最近数年間分の過去問や解答例を収録した講義ノートを購入できる。数年前までは関関同立全てのキャンパス近くに店を構えていたが、現在では立命の文系学部の講義のみ取り扱っている。テスト前は客足がやまず、大盛況の販売所。学生の声、教授の声を聞いた。

 全15回の授業に出席した学生が自分のノートを清書してから業者に提供し、業者はノートをまとめた上で販売するというのが講義ノートのシステムだ。ノート1冊の価格帯にはばらつきがあるが、大半は1000円を下回る値段。ノートを提供すると業者から清書代として報酬が出るため、「小遣い稼ぎ」で応募する学生もちらほらといるようだ。

 学生の間でもノートの利用に関しては意見が分かれる。「講義ノートに何度も助けられてきた。無いと困る」と話したのは1年時より講義ノートを利用している学生(立命・2年)。「授業の復習にもなるし、ノートがあるからといって勉強しないわけではない」とノートの必要性と勉強の自主性を強調する。一方、ノートの利用に否定的な学生(立命・2年)は「講義ノートを買わなくても単位は取得できる。費用がもったいない」と話した。

 また、テストを出題する文学部の教授は「今までの授業は聞いていなかったのだろうか。それに親が高い学費を払って通わせてくれているのにそれでいいのか」と話した。一方で「卒業のかかっている学生なら、わらをもつかむ思いで購入に踏み切るのかも」と一定の理解を示した。

 前期、後期のテスト前に営業を開始し、テストが終われば店を閉じるこの販売所。寒空の下、後期のテストが始まる頃には人だかりがまたできているかもしれない。知らない誰かのノートで取る単位の価値とは。1000円で買える単位で得られるものとは何なのだろうか。