関西第3代表の関西学院大はあす21日、サッカー・インカレ決勝(味の素フィールド西が丘)で流通経済大(総理大臣杯優勝校)と戦う。ノーシードながら優勝候補に挙げられていた、実力のあるチーム同士の対決となった。決勝の模様はBS朝日で生中継される。

◎関学 堅守から流れつかめるか

 今大会では関学の堅守が光る。準々決勝までは全て無失点で勝利。主将のDF福森は「インカレではまだ1失点しかしていない。守備には自信がある」と手応えを話す。

 2回戦の鹿屋体育大(九州第1代表)戦では、GK村下のPKストップで試合のムードが一変。押されていた関学が盛り返し、2点を奪って勝利した。準決勝の阪南大(関西第1代表)戦でも1失点後は粘り強く守り、後半に失速した相手を一気に攻めて逆転した。守備から攻撃へ、良い循環で流れをつかみたいところだ。

 不安材料もある。準決勝で警告を受けたMF小林とMF徳永は、累積により決勝で出場停止。攻撃の組み立てでは欠かせない存在なだけに、2人の欠場は大きな痛手となりそうだ。

 だが、成山監督は「控えメンバーも充実していて、前線は誰が出ても変わらない」と繰り返し口にしてきた。2回戦まではFW浅香、準々決勝ではMF森とMF泉が先発し、それぞれが好パフォーマンスを見せている。代役の活躍にも期待が寄せられている。

◎流経大 「2冠」に王手

 総理大臣杯で連覇を達成し、総理大臣杯優勝校枠で夏から出場権を得ていた流経大。2009年には在学中から日本代表候補だった山村和也(現・J1鹿島)や林彰洋(現・J1鳥栖)ら「黄金世代」を擁し、関東大学リーグで連覇を達成した強豪校だ。今大会でも勝負強さを発揮し、決勝に上り詰めた。総理大臣杯とインカレの2冠まであと1勝だ。

 中野監督は躍進の立役者として、守備的MFの古波津(こはつ)を挙げる。守備では局面で当たり負けしない「潰し屋」。攻撃の展開にも優れ、高い位置でボールを奪取して素早くカウンターにつなげる。

◎それぞれの思い ぶつけられるか

 関学のエースFW呉屋は、流通経済大学付属柏高の出身。高校時代の多くのチームメイトが流経大に在籍しているからこそ、特別な思いを持って試合に臨む。

 夏の総理大臣杯では8月15日の準決勝で実現したカードだ。マークに苦しんだ呉屋はチャンスを作れず、今季初めて不発に終わった。勝負はPK戦にもつれ込むも、1人目のキッカーを任された呉屋は失敗。チームもシーズンで初の敗戦となった。

 「思い入れがあるチームだけど、同時に悔しい思いをしている」と呉屋。DF田上をはじめとする相手守備陣のほとんどが元チームメイトという状況には「自分のプレーは読まれている。でも、(点を)取りたいという気持ちが強ければゴールにつなげられると思っている」。

 一方、流経大のFW江坂は神戸弘陵高出身。「関西から来た身として、関西のチームには負けたくない」。それぞれの思いがつまった決勝戦になりそうだ。

 関学と流経大は、偶然にも大会期間中の宿が同じだったという。両監督は「きっと決勝であたることになるよね」と話していた。その言葉が明日、現実になる。流経大の中野監督は、「総理大臣杯ではPK戦で勝っただけ。スコアは0-0だった」と夏の対戦を振り返り、こう言った。「だから今回、決着をつけることになる」。

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