【野球】【12月号掲載】関大 快挙の秋
2014年秋季は関西大にとって快挙のシーズンとなった。関西学生野球秋季リーグでは39季ぶりの優勝、第45回記念明治神宮野球大会関西地区代表決定戦では42年ぶりの明治神宮大会出場を決め、関西地区第一代表として全国の舞台に上がった。今季の戦力を多く残す関大は来季も注目の存在となる。
関大躍進の原動力となったのは守備力の向上だった。昨年から投手陣をけん引してきた3年生エース石田、今季首位打者の西田尚や打撃の要となる藤嶋を擁しながらもリーグ3位以上の結果を残せなかった昨季までの関大。転機は2014年1月の早瀬万豊監督の就任だ。
「新しい風を吹き込んでくれた。基礎的な部分を徹底的に鍛えるという、自分たちにない考えを教わった」と主将江原は話す。春季リーグを3位で終え、早瀬監督は守備面、特に送球の課題を指摘。実戦練習を多く取り入れ、秋季に向けチーム全体で改善に取り組んだ。秋季リーグ序盤こそ失策が目立ったが、後半には安定。第7節では3試合連続無失策試合を達成するなど、成長を見せた。
◎チーム変えた「執行方針」
新たな取り組みの中でも多くの選手が口にするのが「執行方針」だ。
早瀬監督就任と同時に導入された執行方針。攻撃面、守備面、トレーニング面についてそれぞれ取り組むべき課題や練習の方針を定めたものだ。試合前や練習前に必ず執行方針を読み上げ、課題を正確に把握して行動に移す。選手一人一人に目的意識が生まれ、練習もより実戦的なものに近づいた。関大の躍進は選手たちの野球に対する考え方や、姿勢の向上の結果が表れたものだった。そして執行方針の中にひときわ大きく書かれた目標は「全国制覇」だ。
11月16日、明治神宮野球場で行われた創価大との一戦。大学野球界の強豪を相手に関大は8回に1点を先制するも追いつかれる。延長戦タイブレークへ持ち込まれ、地力で勝る創価大に関大は得点できない。10回裏、好投を続けていた先発石田が得意球のスライダーを右翼へ運ばれ、1―2で敗戦。早瀬監督は「タイブレークの対策はしていたが」と悔しさをにじませた。
「守備から攻撃につなげるという目標は達成できた。この経験を積み重ねていきたい」と早瀬監督は今季を振り返る。守備面の成長を見せ、石田や柿山ら今年の守備陣の主軸を担った選手を残す来季の関大。次に求められるのは得点力の強化だ。来年、創部100周年の節目を迎える関大。成長を遂げ全国を経験した関大は、リーグ連覇に向けさらなる躍進を誓う。
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