大阪府教育委員会は今年度から、教員採用選考テストの計画的な受験準備を支援するための「大阪府教員チャレンジテスト」を始める。大阪府内の公立学校教員を目指す大学2年生以上や社会人が対象。正答率が75%以上の受験者は、来年度と再来年度の教員採用テストの1次試験筆答テストが免除される。全国初の試みだ。

 チャレンジテストのそもそもの趣旨は、受験者の母数拡大と負担軽減にある。
 「団塊の世代」の教員が大量に退職することを見込んで、大阪府では2005年から大量採用の方針に切り替えた。しかし最近は志願者数が伸び悩んでいたため、教員への門戸を広げる意味でチャレンジテストの実施に踏み切った。教員免許を取得している社会人や、通信教育で教員免許取得を目指す学生などの取り込みを狙う。スケジュールの都合で受験を断念してしまう学生に対し、試験日程をスライドさせて負担を軽減する意図もある。計画的に受験すれば、空いた時間を教員に必要な専門性や豊かな人間性を獲得するための活動に充てることも可能だ。「計画的に受験して、より時間をかけて試験の準備をしてほしい」と担当者は言う。この取り組みによって学生が教員の資質を磨き、「結果的に大阪府の教員になってくれればいい」と双方にメリットがあることをアピールした。

 現場の大学教員からは「青田買いだ」「教員採用の前倒しだ」などの批判がある一方で、「教員志願者の裾野を広げる」など好意的な声もあり、評価はまちまち。しかし大阪府教育委員会は「青田買いの側面がないとは言えないが、従来の選考ルートも変わらず残っている。法律で許される範囲内でやっている」とする。あくまで1人でも多く、優秀な志願者に受験してもらうためのものと強調した。

 第1回目の大阪府教員チャレンジテストは12月13日。試験科目は教員採用テスト1次試験筆答テストと同様に、教職教養(教育原理)、教育関連の法令、教育公務員の倫理(服務規律)、教育時事を出題する予定だ。