神戸大の塚本・寺田研究室が制作した「光る募金箱」が、12月4日から15日まで行われている神戸ルミナリエ(中央区)に登場した。募金箱を手に、学生が自ら沿道に立ち募金を呼びかける。

 光る募金箱の制作は「募金をする人に喜んでもらうことで、感謝の気持ちを伝えたい」という思いから2005年に始まり、今年で10年目。募金は神戸市に寄付し、来年以降のルミナリエ継続のための資金となる。

 同研究室は普段、ウェアラブル端末(身に付けて持ち歩けるコンピュータ)を研究している。募金箱は募金すると光が変化する仕組みで、発光ダイオード(LED)や3Dプリンタなどの技術を応用し制作。今年は学生35人がチームに分かれて5種類を新たに制作した。チームリーダーの上田健太郎さん(神大工科・修士)は「活動のたびに制作のノウハウが身につき、毎年完成度が上がっている」と話す。

 昨年はメリーゴーランドのような動く仕掛けを作ったが、電池の消費が激しく箱を水平に保たなくてはならなかった。今年は反省を生かし、光だけで個性を出せるように工夫。募金活動の期間中にも修正を続け、募金者がより楽しめるよう改善を繰り返した。数年前からは神戸芸術工科大の学生も参加し、デザインの向上に力を入れている。

 募金額は年々増え、昨年の合計約150万円から、今年は12月12日で180万円を突破した。光る募金箱の認知度も上がり、問い合わせが増加。毎年募金箱を楽しみにしている来場者から「どれが新しい募金箱?」と声をかけられることもあるという。

 同研究室は、募金箱の制作の他にも研究作品の展示や講演会など、外部向けのイベントを開いている。上田さんは「新技術がどう役に立つか、一般の人にも知ってほしい」と話した。

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