VOL.220 魅せる男、マジシャン界変える
保田純さん(関西外大・4年)は、3月に行われたクロースアップマジックの大会「The Japan Cup」で金賞に輝いたマジック界期待の若手。クロースアップマジックとは、コインやカードなどを用いた、観客と近い距離で行なうマジックのことだ。11月に韓国で行なわれる世界大会のアジア予選へ出場を決めた。
小学5年生のとき、サイコロを使ったマジックの種明かしを見て「こんな単純な仕掛けで、不思議な現象が起こるのか」と強く魅了された。その感動が、現在に至るまでマジックを続けている原動力の1つだという。
韓国や台湾など海外のマジシャンとも交流のある保田さんは、今のマジック界でブームとなっているのは「ストーリー性」だと考える。約10分の演技の中で、どれだけストーリーを織りこむことができるかが重視されているという。しかし「そこで勝負してはいけないと思う。ストーリーではなく、単純に技術で勝負したい」と話す。
技術にこだわりを持つ保田さんだが、決められた練習メニューは無い。「意識しながら指を動かすようではダメ。考えずに指が動くようにしないと」そう語る保田さんは、考え事をする際にはカードを触っていないと落ち着かないというほど。テレビを見ているときでも、ひたすらコインやトランプを触り続けていたことが、保田さんの技術に磨きをかけた。大学の勉強もおろそかにしていない。経済学を勉強していても、「マジック商品をどのように売り出すか」と発想がマジックに繋がるという保田さんは、「大学の勉強も芸の肥やしになるので、苦に思ったことはない」と話す。
「マジシャンというラベルを金色に輝かせたい」と意気込む保田さんが目指すのは、一般の人々がマジシャンに抱く「苦労人」という既存のイメージを変えることだ。「マジシャンといえば『お洒落で自由に生きている』と連想するくらいに、イメージを覆したい」と話す。そのためには「マジック界のスター」が必要だという。「1人スターがいると、その業界は注目される」という考えを持つ保田さん。将来的には外見、マジックの雰囲気、使う音楽、WEBサイトに至るまでをこだわった「マジック界のスター」をプロデュースしていく。
11月に行なわれるアジア予選では、「来年7月の世界大会に出場できるように、技術を武器に勝負したい」と意気込んだ。
【聞き手=沢田智子】
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