vol.2167月中旬。記者のTwitterのタイムラインを局地的に荒らしたのは、あるフリーペーパーの見開き2ページだった。「犯罪者インタビュー」とセンセーショナルな見出しが踊る誌面には、2年前にある容疑で逮捕された同志社大の学生の名前が。
断トツに尖った企画を打ち出して話題をかっさらった「CREW」にあんなことやこんなこと、聞いてみました。

「CREW」は京都の大学生を中心としたフリーペーパー制作団体。さまざまな大学からメンバーは集まっているが、デザイナーは全員アートを学ぶ京都精華大生。個性的なライター陣と、確かな技術を持つデザイナー陣が手を組んだ強固な制作体制が特徴だ。「CREW」の武器は、その「ぶっ飛んだ」企画力。今回は「犯罪者インタビュー」で話題となったが、その他の企画も突き抜けたものが多い。領土問題がホットだった時期の「夢のようなドクトへの旅!いま、独島がアツい!」や、女性読者を敵に回した「なぜあのブサイクはヤラせてくれないのだろうか」など、ほぼアウト大胆な企画を連発。最新号のコンセプトは「桃太郎概論」。桃太郎の話をベースに、犬・猿・雉を実際に食べてみたり、同志社大に在籍していた有名学生を揶揄してみたりとやりたい放題。しかし、最後には「僕たちはこの世に生き続ける限り、誰かにとっての『鬼』なのかもしれませんね…」とチクリと刺すのも忘れない。

「既成概念、社会的制約にとらわれない自由な発想をもとに永遠のテーマである生をファンタスティックにそしてクリエイティブに提案をし続けます」。巻末で控えめに語るが、その中身は社会風刺からワンチャン(ワンナイトラブ)コラムまで、まさに猛毒エンターテイメント。エッジの鋭さが際立っている。

「犯罪者インタビュー」のヒットによって次号への期待は高まるが、現代表の清水晃平さんは「(次号も)攻めます。次が最後の『CREW』になるかもしれません」と不敵に笑った。「いつ潰れてもいいから、記憶に残るようなものを作れれば」。

今後も「CREW」が発行されることを祈りつつ、「炎上したらまた取材に行こう」と密かに期待してしまう取材だった。(聞き手=竹内勇人)