京都大のシンボル、クスノキ前でラジオ体操をする集団が現れた。「京大ラジオ体操同好会」。ラジオから流れる音楽に合わせ、活き活きと体操をする京大生たち。通りかかる人がもの珍しそうに見る中、ラジオ体操第1・第2を終え「お疲れ様」と一言、各自次の予定へと向かう。謎に包まれた同好会。何故ラジオ体操をしているのか、その活動に迫った。

 同好会設立のきっかけは会長の久留島隆史さん(工・4年)がもともと入っていたサークルのイベントで、夏休みにラジオ体操をしたこと。予想以上に人が集まり、ラジオ体操の面白さに気付いた久留島さんは同好会の立ち上げを決めた。当初は1人でラジオ体操をしていた久留島さん。2カ月後には初の参加希望者が現れた。その後はうわさなどで名が広まり、今では朝は2、3人、昼は15人程度でラジオ体操をしている。時には見ていた高校生や親子連れが飛び入り参加することも。
活動は平日の朝6時30分と木曜の12時30分にクスノキ前にて行われる。自分が会員だと思えば会員になれるため会員数は不明、誰でも参加可能だ。京大の11月祭、通称NFのステージにも過去2回登場し、観客とともにラジオ体操をした。会員の間浦幹浩さん(理・4年)は「普段は家や研究室にこもりがち。体を動かす機会がないため、みんなとラジオ体操ができるのは楽しい」と話す。

 そんな「ラジオ体操同好会」だが、1つ心配事がある。それは会長が卒業すると同好会の存続が危ぶまれること。久留島さんは好んで毎朝クスノキ前へと向かうため、自分と同じ仕事を誰かにしてもらおうとは思わないという。一方で、「大好きなクスノキ前をラジオ体操のスポットにして、地域に愛される京大にしたい」という思いを胸に秘める。「ラジオ体操で京大を変えたいという野心もあったけれど、なかなか厳しい。楽しいから続けられる」と語る。

子どもからお年寄りまで参加できるラジオ体操だからこそ、地域の人との活動を目指すことができる。ラジオ体操を通じて、京大を身近に感じてもらえるようアピールする彼ら。今日も京大ではラジオ体操の音楽が響いている。

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