みなさんは普段「グチ」を言いたくなることはないだろうか。日常生活が充実していても、誰だって愚痴の1つや2つはこぼしたくなることがあるはず。しかしそんなとき、黙って聞いてくれる相手がいなかったり、他人に話しにくい悩みを抱えていたりと、悶々としている人も多いのでは。そんな吐き出せない愚痴を路上を中心としたさまざまな場所で聞き集め、ネットを通じて共有している企画が「グチコレ」だ。

 「普段出会えないような人のグチを聞いていて、以前より人の話の背景などに気を使いながら会話ができるようになった」とグチコレ代表の藤原邦洋さん(龍谷大・実践真宗学研究科・修士課程)は活動の喜びを話す。グチコレでは、龍谷大や京都女子大の学生が京都市内の街頭や飲食店等で他人の愚痴を聞き、浄土真宗本願寺派が運営する公式サイト「他力本願.net」上でコンテンツの一つとして愚痴を匿名にして公開している。同派が「街のお悩みを集める」というテーマでコン テンツを一緒にしてみないかと実践真宗学研究科に提案したことをきっかけに、2012年11月に本格的に活動を開始した。

 今までに聞き集めたグチはおよそ3000にのぼる。最も多い愚痴は、人間関係に関するもの。だが、愚痴を聞く上で悩みを解決するためのアドバイスはしないという。愚痴をこぼしにくる人は正論が聞きたいのではなく、基本的に自分の話を聞いてほしいからだ。愚痴を話してくれる年齢層は10代後半から20代前半が多い。浄土真宗本願寺派総合研究所の加茂順成さんは「最近の学生や若者は、友達の輪で決められたキャラを演じることでストレスを感じているのではないだろうか。社会全体が愚痴を言ったらダメという風潮になっていると生きづらくなってしまう」と述べ、誰でも気軽に愚痴を発言できる場の大切さを訴えた。

 加茂さんによると、「仏教との関わりは葬式のときだけと思っている人が昨今多い。だが本来仏教は、人の生き方のよりどころとなるもの。グチコレクター(グチコレのメンバー)たちは、その考えをもっていつも活動している」と述べている。京都市内を歩いていて彼らを見かけたら、あなたも普段のストレスを「グチ」としてグチ
コレクターに話してみてはいかがだろう。  (聞き手=青野巧)

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