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 UNNが関西の大学生242人を対象に実施したアンケート(6月20〜29日)によると、集団的自衛権の行使容認に「賛成」、「どちらかと言えば賛成」と答えた学生は32.2%だった。一方、「反対」または「どちらかと言えば反対」と答えた学生は67.8%と、7割近くに上った。

 賛成する理由で最も多かったのは、「(集団的自衛権を)認めないと日本が攻撃された時の支援を期待できない」というもの。軍事事件の世界的な増加を考慮すると、他国から自国への直接攻撃に対する個別的自衛権のみでは対応できないとする見方だ。対して、反対の理由の多くは「(集団的自衛権の行使を)認めれば、日本が事実上戦争できる国になる」ことだった。集団的自衛権を認めると、日本が直接攻撃を受けていなくても「自衛」として他国への武力行使が可能になる。「(日本に)攻撃を行っていない国を日本から攻撃するのは、自衛ではなく侵攻では」という意見もあった。

 また、「憲法には改正の手続きが明記されているのに、政府が解釈を変更するだけで集団的自衛権まで容認するのは納得できない」など、解釈の変更自体に反対する声も。「改正でなく解釈によって最高法規(日本国憲法)の施行体制を変えることは、法治国家の形骸化」との指摘もあった。

 一方で、「集団的自衛権について説明ができるか」という問いに「いいえ」と答えた学生は35.1%。集団的自衛権に関する理解が学生に浸透していない現状も浮き彫りとなった。

 説明できない理由としては「語句は知っているが具体的な内容はあまり知らない」などの回答が目立ったが、中には「政治家や与党内で議論が終始していて、興味が湧かない」という意見も。「自分で調べるのが当然とは思うが、学生の意見が政策に反映されるとは思えず、行動に移せない」と、学生の無力感を示していた。

【集団的自衛権】

 他国が武力攻撃を受けた場合に、直接攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う国際法上の権利。行使するためには宣戦布告を行い中立国の地位から脱する必要があり、宣戦布告を行わないまま行使することは、戦時国際法上の中立義務違反となる。

 日本政府はこれまで自衛権発動の3要件を挙げ、個別的自衛権の行使のみを認め、集団的自衛権や、国連決議に基づく武力制裁などの集団安全保証での武力行使は禁じてきた。

 今回の閣議決定では「新3要件」に基づき、「(日本と)密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」した際、「(日本の)存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」などの条件を満たせば、自衛措置として武力行使ができるとしている。