今年4月、TOEIC(R)テスト(以下、TOEIC)、TOEFL製作開発元のEducational Testing Service(以下、ETS)からテストの実施運営を委託された英国の団体での替え玉受験や、試験監督が解答を読み上げるなどの不正を受け、ETSが英国内務省との英語能力との英語能力証明(SELT)のライセンス契約を更新しなかったことを発表した。一部の例外を除き、TOEICとTOEFLが4月より英国ビザの申請に使用できなくなった。英国留学でのために受験していた学生は対応を迫られるが、TOEICとTOEFL以外にも英語力を測る試験は存在する。

 英国留学を経験した同志社大の学生は、「TOEFLの中には受験料が安いものもあり、今後留学に使えなくなると金額の高い他の検定を受けることになる。何度も受験することができなくなる」と困惑した表情を浮かべた。

 英語によるコミュニケーション能力を幅広く評価する「TOEIC」と、世界で最も広く受け入れられている英語能力試験「TOEFL」。2013年度にTOEICを受験した240万人のうち、およそ4割が大学生だ。一定以上の点数を取ると英語科目の単位として認定される大学も多く、2013年度の調べでは国内で480の大学が採用している。また、就活の際に利用するエントリーシートにも英語能力の証明として記載できる。国際ビジネスコミュニケーション協会の広報室は「企業内では、昇進・昇格や、海外出張・海外赴任の基準として利用されるため、スコアは自身の英語力の証明になるのでは」とコメントしている。

 一方、実際のビジネスシーンで必要な英語力を測定する「BULATS」や「GTEC」、留学のための英語力証明や海外移住申請に最適な「IELTS」などもある。今回の英国ビザの件を受け、留学希望者が受験する検定の変化が予想される。TOEICやTOEFLは会場や試験回数も多く、身近な検定だが、英語力を示すのは必ずしもTOEICやTOEFLだけではない。自分の目的に適した検定試験を見定め、役立てるべきだろう。