vol.208 個性を活かす新しい就活
「就職活動」。エントリーシートを必死に書き、リクルートスーツに身を固め、髪はみんな黒色といったイメージ。多くの企業は就活生に個性を求めるが、実際の就活は没個性スタイルだ。そんな学生らの頭を悩ませる就活を楽しんでほしいと考える、就活応援サイト「ミートボウル」や就活情報サービスサイト「シュウクリーム」などを経営する採用支援会社「カケハシ スカイソリューションズ」に話を聞いた。
一風変わった就活情報を掲載しているサイト「ミートボウル」。出会う場所という意味が込められているサイトの採用企画一覧には「ダイエット大成功採用」、「DJ採用」、「高校生クイズ本選出場者採用」など謎めいたものが並ぶ。自分の持っている経験・実績・趣味・特技などの個性が企業で生かされるために、「素」の自分で勝負できるよう考案された企画だ。「自分では大したことと思っていなくても、アピールポイントになることもある」と話すのはミートボウルやシュウクリームなどを運営する株式会社カケハシ スカイソリューションズの池田園子さん。以前行われた採用には「強豪チームの万年補欠採用」というものも。一般的にエースでなければエントリーシートには書かない。しかし視点を変えると、レギュラーでなくても常にベンチ入りしていた努力と忍耐力、応援力など企業が求めている条件に当てはまる。「ボウル」と呼ばれる採用企画は企業が求める人材のさまざまな条件に当てはまるものから逆算され、考案される。「検索カテゴリーで絞り込んだ結果、企業と就活生が出会うのではなく、企業と就活生がお互いに見つけ出すのも良いのでは」と池田さんは話す。
就活といえば、インターネットなどで大手就活情報サイトに登録を強要されることから始まる。そして自分の希望する職種や会社を検索、エントリーするのが主流だ。加えて自らをアピールし、企業からのオファーを受ける形の就活も少なくない。具体的な将来の夢が見つかっている人は検索型の就活サイトでも十分。しかし、自分に合うものが分からず迷っている人は、なんとなく選択した職種や勤務場所などの条件がそろった企業しか目に入ってこない。
カケハシ スカイソリューションズは今年4年目のベンチャー企業だ。社長と社員、企業と人など、何かと何かをつなぐ「架け橋になれ。」という企業理念がそのまま会社名になっている。「就活を楽しんでほしい」。そう話す池田さんは「服装や髪型から入るのは良いけれど(企業に)嫌われたくない、落とされたくないという考え方まで均一化されている」と指摘する。就活は自分の将来を考えたり、人生を振り返ったりする良い機会。しかし「大変そう」、「やりたくない」というイメージがつきまとう。「就活なんてしなくても、自分で会社をつくったりすることもできる。学生ならまだ若いし、もう1度就職することも可能だ。でもデビューする会社が楽しくなかったら、働くこと自体が楽しくなくなってしまう」と 池田さんは警鐘を鳴らす。未来に不安ばかり抱いていても仕方がない。個性を活かせる、企業と人が互いに求め合う新しい形の就活も始まっている。
(聞き手=坂本知奈美)
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