2016年度入学試験から「特色入試」が開始する。さらに、医学部医学科では国際科学オリンピックの世界大会への出場経験のある高校生を対象とした「飛び級」の入学も認める。医学部で飛び級入学(以下、飛び入学)を認めるのは国内で初めて。優秀な人材をいち早く大学へ取り込み、臨床研究や研修などの実地教育を重点的に行う狙いだ。

 特色入試は高い学習意欲を持つ人材を集めるのが目的。全学部で導入を予定し、総定員およそ2800人のうち100人ほど。高校が作成した学業活動報告書やセンター試験の成績の他、受験生が志望理由や入学後の目標などをアピールする「学びの設計書(仮称)」が評価の対象となる。加えて、学部ごとに論文試験や面接などを実施する予定。

 大学への飛び入学は、1997年に数学および物理学分野に限って初めて解禁された。千葉大は98年から理学部と工学部への飛び入学を認めている。2001年から全分野で解禁されたが、飛び入学を行えるのは大学院を持つ大学のみ。現在は千葉大の他、慶應義塾大や名城大などが飛び入学を認めている。

 有名進学校(兵庫県)の進路指導を担当する教諭は、生徒に飛び入学を勧めることはできないという。「コミュニケーション能力や人間関係の構築を学ぶのが高校生活の大きな意義」と話す。「特に、受験勉強を通して仲間と切磋琢磨する3年生の1年間は経験させてやりたい」と、勉強以外での高校の役割を強調した。

 飛び入学を行った場合、一部の奨学金制度が適応されない場合がある。形式上は中途退学したことになり、「高等学校の卒業」を適用条件として定めている奨学金制度は申請できなくなるので注意が必要だ。