昨年、関西リーグで2位、大学選手権では第2ステージで敗退し日本一に届かなかった同志社大ラグビー部。しかし、関東のチーム相手に善戦し、選手らは手応えを感じていた。「手が届かない相手ではない」とキャプテンのNo.8田淵。同志社大は、ここまで順調な調整をみせている。

 関東のチームと戦う上で見つかった課題はフィジカル面。「コンタクト面で劣っていた」と田淵が話す通り、関西の選手に通用したことが関東相手には通用しなかった。

 反省を生かし今年は、学外から栄養士を呼び、食事面から改善。選手個人でも間食では何を食べたら良いのか教えを請うなど、食生活からフィジカルを鍛えている。よりハードなトレーニングも課し、「昨年より体は間違いなく強い」と山神監督。関東にも決して引けを取らない。

 一方で、不安要素もある。ここまで順調にきているため、どこかでつまずきが生じることだ。レベルアップの過程ではあるが、山神監督は「うまくいかず勝てなくなったときに、やってきたことへの不信感を持つかもしれない。そういったときに自分たちの原点に返ることが重要」と話す。原点にあるのは同志社らしいラグビー。宮本前監督時代から続く「やって楽しい、見て楽しいラグビー」だ。

 チームとしての一体感も不可欠。田淵は「下級生から上級生まで風通しが良い」と話す。上下関係はありつつも、誰もが意見を言える。さらに昨季、日本大戦でハットトリックを決めたWTB松井をはじめ、1年生から試合に出場していた選手も多い。力のある下級生がいることで、上級生も負けたくないという意識を持ち、チーム内に良い空気が生まれている。

 春はまだまだ前哨戦だが、本番の秋に向けて重要な時期だ。開幕戦は4月20日の立命館大戦。昨季関西リーグで唯一敗れた相手だ。田淵は「冬のトレーニングで身につけたことを生かして個で圧倒し、勝利につなげたい」と意気込む。山神監督も「1対1では負けないよう、内容にこだわっていきたい」と闘志を見せる。日本一に向け、同志社の挑戦が始まる。