UNN内で「新聞を毎日読む」学生は50人中11人。読まない理由として、「情報はオンラインで得られるので読む必要がない」、「読みたいが毎月の購読料が高い」といった意見が目立った。  「オンラインとペーパーはよく対立関係で語られるが、両者は共存関係にある」。基調講演を行った小野高道さん(ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパンCEO)は「多チャンネル時代の新聞」と題し、2つのメディアについて「どちらも情報の伝達が使命。選ぶのはユーザー一人ひとりだ」と述べた。シンポジウムを告知するチラシに使用したコピー「新聞は時代遅れ」との文言については「情報が溢れすぎて使いこなせないなら、むしろオンラインの方が時代遅れだ」と話した。ビジネスでは自分の頭で情報を整理して提示する力が要求される。新聞には、プロ集団が厳選した情報が詰め込まれているため、その力を養う教科書代わりになるという。  続いて行われたディスカッション「学生に新聞は必要か」では、小野さんを交え学生新聞編集者らが議論を展開した。全日本大学新聞連盟代表の和田進さん(中央大・4年)は、「資料などとして利用するストックの情報は確実性が必要になる。オンラインのフローな情報ではそれが実現できない」と話した。同時に、「紙の有益性を認めつつ、オンラインと協調関係を結びながら発展していくことが大切」とも述べた。それぞれの長所を生かしつつ、相互に補完することが必要だという。  学生にとって新聞は「ぜいたく品」と言われつつも、なぜ各新聞社が紙媒体の新聞を勧めるのか。小野さんは「新聞紙を勧めているのではなく、情報がきちんと献立された紙面の編成力を勧めている」と話す。玉石混淆のオンラインで本当に有益な情報を得るのは困難だ。「情報の価値というものを、学生にはもう一段高いところで取捨選択してほしい」と述べた。