「行くまで完全に他人事だった」。FORWARD所属の中本さわさんと西澤葉月さん(共に和歌山大・1年)は、2012年夏に同団体主催のプログラムでボランティアバスに参加した。初めて生で見る被災地の光景に言葉を失った。活動は3日間で草刈りなどの作業を担当。現地の担当者から津波発生時の様子を聴く機会もあった。「南海地震の時は、私たちがこうなるのか」と中本さん。西澤さんも「東北に行って意識が変わった。行動しないと」と支援と防災への意欲を口にした。


もう1人の話し手、加藤達也さん(和歌山大・2年)は2人の言葉に懐疑的だった。「ボラバスでは被災者との交流がほとんど無かった。顔の見える支援でないと意欲は湧かない」。加藤さんは中南米の発展途上国グアテマラで、子供たちに教育支援を行っている。団体のプログラムに頼らず、交通費はすべて自費。現地の治安は悪いというが「グアテマラの人が好きだから」と、ためらいは無い。共に活動する先輩への憧れと、支援の中で生まれる現地の人との絆が彼を突き動かす。「相手を知らずに、よその土地のために尽くそうとは思えない」と言い切った。

 加藤さんの話を聴いた2人は「やっぱりまだ他人事だった。確かに自分は被災地が好きなわけでもない」と漏らした。聞き手の友廣さんは「いきなり顔の見える支援は難しい。ボランティアバスの形式は興味を持つきっかけとして必要」と解説。話し手それぞれの本音が出た形となった。

〇取材を終えて

 自らの心に動かされて支援を続ける1人の学生により、表面上の体裁を壊され、学生ボランティアたちは被災地に対する本音と向き合った。
 この体裁は、ボランティアバスなどの「パッケージ型支援」に頼りがちな人が陥ってしまう、1つの罠なのかもしれない。
 最初のきっかけから、いかに自らの意思で支援を続けていくか。震災から2年が過ぎた今、支援者に問われている課題だ。

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