「なんといって目玉は巨大なひな壇。竹の細工が一番苦労した」とひな壇制作班の西本浩人さん(摂南大・3年生)は語る。竹の細工だけで2、3ヶ月を要し、夏に開始した作業は季節をまたぎ秋までかかった。また、材料の「八幡竹」は、トーマス・エジソンが白熱電球の実用化の際に使用したことで有名だ。ひな壇制作班の他にも電車広告用ポスターの制作やひな人形集めを担当した広報班とひな壇の飾りものを制作した飾り制作班があり、「それぞれの班に強いこだわりがあり、各班の主張を一つにまとめるのが大変だった」と西本さんは活動を振り返った。しかし、表情からはイベントの成功からか笑みがこぼれていた。


 PBL型学生プロジェクトは、学生が主導となり社会問題を実践の場で学びながら解決することを目的で行われている。今回のイベントは、会場となった京都国際ホテルを運営する「藤田観光株式会社」との包括協定を締結がきっかけで、日本の伝統文化「ひな祭り」の教育・継承が目的で行われた。会場にはひな壇の他にもパネルが設置されひな祭りの歴史を学ぶことができる。また、学生が行ったアンケート結果も紹介されており、約60%の世帯ではひな人形を飾っていないことが判明。主な理由として「面倒」が41%、「スペースがない」27%があがった。意外な結果から「自分たちの世代では考えられない」と年配の女性を中心に驚きの声が上がった。

 大ひな壇を見た来場者は「圧巻。今まで見たことがない。自分もひな人形を寄付したがこれだけ(約2000体)あると探すのも大変」と話す。今回のプロジェクトの講師を担当した稲地秀介さんは「予想以上の来場者に驚いている。ひな人形はすべて寄付されたもの。また有効活用できるよう考えたい」と来年度以降の活動方針を模索していた。

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