「やっと始まった」。開催直後、実行委員長の井上由起乃さん(神戸大・3年)はそう振り返った。本来、930日に行われるはずだったイベント。しかし、930日は台風の接近により中止の決断を下した。中止を決定したのが当日の朝という、まさに苦渋の決断だった。

 しかし、このままでは終わらなかった。その後すぐに今回のイベントを企画。中止を決定したその時から、企画を考え始めたという。準備期間や資金の不足に苦しんだが、「9月に中止が決まった時、多くの人から『残念だった』などと声をかけていただいた。応援してくれる方の存在を知ってこのままでは終われないと思った」と井上さんは企画のきっかけについて話す。9月のものと比べて規模は小さくなったものの「盛り上がりでは負けない」と自信をもって話した。
 
 Swing Jazz Cruiseに共通する思いは「大学生の手で神戸の街とジャズを盛り上げる」。今回、出演した大学生バンドは全10バンド中8つで、神戸大・関西学院大など兵庫県の大学を中心に5大学のバンドが参加した。どのバンドも個性的な演奏を披露し、観客をジャズの世界に引き込んでいた。「ジャズの魅力をより多くの人に伝えたい」と井上さん。新たにフィナーレでのダンスを企画するなど、より観客を楽しめる工夫がなされていた。訪れた観客の数は約1000近くにのぼり、多くの人がジャズの演奏を楽しんだ。
 
 娘がバンドに参加しており、会場に訪れた女性は「プロの演奏とは違い、学生らしく、若々しくてパワーをもらえるような演奏だった」と話しおり、学生のパワーに感心したようだった。