浴衣でつながった半年
同企画は、時間や金銭の問題でボランティアに行けない人に向け「関西でもできる復興支援」を考えて生まれた。「YUKATAI」には「YUKATA(浴衣)」と皆を結ぶ「tie(帯)」の意味が込められている。岩手県陸前高田市に浴衣を届けた9月まで、約50人の学生が関わった。浴衣は全て、反物を染める段階から伝統的な手法で学生が制作。報告会には、活動に協力した「西陣織会館」などの関係者が訪れた。
会は企画参加者からの報告でスタート。3つのパートごとに、学生がここまでの思いを語ったほか、浴衣を受け取った子供たちからの手紙も読まれた。岩手県に赴き、浴衣を手渡した谷知美さん(京都光華女子大・1年)は「東北には行けなかった方も、企画をきっかけに、時間ができた時には行ってみてほしい」と力強く話した。また、浴衣の反物を提供した西陣織会館の副館長である松本里花さんは「反物の提供をした後は手を離れていたので、子供の手紙などで強く実感できてよかった」と嬉しそうだった。
後半部ではワークショップを開催。企画を支えた西陣織会館、手染メ屋京都、京都和裁総合学院の関係者から「京都の伝統文化」が抱える問題を聞き「東北の今後の支援」が持つ問題との共通点、解決策を考えるという斬新な内容が用意された。5人ずつに分かれた参加者は、模造紙に思い思いの考えを並べつつ、様々な視点で問題を見つめる。「両方とも『継続』が何より大切」。参加者が、一見関係の見えない2つを、次第につなぎ合わせる。45分に渡る議論の後には、各グループの模造紙がいっぱいに埋め尽くされた。
4月から代表を務めている田島将大さん(大阪大・修士課程)は報告会後「アクションがあった後、何か動きを起こすことでまた得るものがある。これはYouth for 3.11の活動理念であり、今回のワークショップを設けた理由」と話した。Youth for3.11は、今後NPO法人として再結成され、より広範なボランティア活動支援を行うという。「NPOになると確かにかかる責任は重くなる。だからこれまでがいい加減だったつもりはないし、意識の変化を感じることもない」と答えた田島さん。浴衣で東北と京都をつないだように、今後も被災地とボランティアを結ぶ。
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