ヒトの脳の発達メカニズムを解明するために、ヒトとチンパンジーの脳を比較する研究は以前から行われていたが、胎児期の脳についてはこれまで研究されていなかった。  今回の研究では、妊娠したチンパンジーに対し、妊婦と同じような超音波撮影を試みた。その結果、ヒトの脳容積の成長が妊娠後期まで加速するのに対し、チンパンジーの脳容積は妊娠中期で加速が鈍ることが明らかになった。  この研究から、ヒトの脳の急速な発達は、胎児期から始まっていると分かった。子どもの発達のためには出生後だけでなく胎児期にも目を向ける必要があることが、生物学的観点から示されたといえる。