各大学、伝統ある合唱団の名に恥じないような素晴らしい演奏だった。 関西の合唱団である2大学も、他大学とともに会場を盛り上げた。
100年を超える歴史をもつ合唱団、同志社グリークラブは『感傷的な二つの奏鳴曲』を演奏した。ピアノと指揮者の伴奏と男声合唱団によるハーモニーが見事に調和し、全体としてまとまりのある演奏を披露した。観客の中には「全体的な奥深さや、ピアノの滑らかさが印象だった」との声もあった。
また、日本最古の男声合唱団である関西学院グリークラブは、演奏曲『阿波』を歌い上げた。指揮者の伴奏と男声合唱団のみというシンプルな構成であった。一人ひとりの声量が会場全体に響き渡ることで、繊細かつ迫力のある合唱で各団による演奏のラストを飾った。「ほんのわずかな変化が、曲調の中に何度も感じられた」と話す観客もいた。
そして最後に4団合同による演奏では、各団が壮大な合唱曲を披露し、会場の盛り上がりは最高潮に達した。演奏を終えたときには、会場からは合唱団に対して盛大な拍手が湧き起こった。アンコール演奏が始まるまで、拍手が鳴り止むことはなかった。
演奏者の一人、梅野哲平さん(同志社・2年)は他大学の特色や魅力を認めつつ、合唱サークル・同志社大グリークラブについて「コンセプトは『聴衆と一体となった音楽』。ただ演奏するだけでなく、どう聴いてもらうか、聴く側の視点に寄り添って考える」と語った。一方で「合同の演奏会というが、その実態は意地と意地のぶつかり合い。他大学との合同演奏の際には、隣の合唱団には負けるものか、と張り合うのも伝統」と微笑んだ。
また、村尾新さん(関学・2年)は「3月から準備してきた本演奏会で、自分たちの実力を存分に発揮できた。ミスが許されない大会とは違い、思いのまま表現できたのが良かった」と達成感をにじませた。
演奏会終了後、四大学合同演奏の指揮者を務めた、関西学院グリークラブ常任指揮者の広瀬康夫さんのもとには、贈り物を手渡す多くの学生が後を絶えなかった。同氏は「東京の大学には東京らしさ、関西の大学には関西らしさがある。もちろん、各大学それぞれにも特色がある。四大学合同演奏では、それぞれの良いところが際立つのが面白い」と顔をほころばせた。