4年ぶりの甲子園ボウル出場を果たした関学。リーグ優勝を決めたリーグ第7節の立命館大戦では1本目のTDを決めた初めの攻撃シリーズから、終始試合のペースを握ったまま37-7でライバルに圧勝した。ラン、パスのバランス良いオフェンスを展開する今年の関学。中心となるのは、今年の春からスターターとして出場するQB畑だ。上背こそないものの、リーグ戦では試投86回中58回成功、951ヤード獲得と安定したパスを見せ、オフェンスをけん引した。終盤の関大、京大、立命の3校の試合では、合計で52回中35回成功517ヤード獲得のパスと、自らのキーププレイでゲインを重ね、関西の強豪校を破ってきた。また畑の持ち味の一つのラン。パス相手がカバーされていると見るやパスフェイクからのランプレーで苦しい局面を打開してきた。

ターゲットとなるレシーバーにはWR和田、小山、梅本らがおり、駒はそろっている。QB畑とともに練習開始の3時間以上前からグラウンドにあらわれ、パスの連携を確認してきたというレシーバー陣。立命戦でのプレーが崩れてからの和田へのパス成功は、このような練習に裏打ちされたものだ。
また昨年に比べプレー選択の比重の増えたRB陣にはRB松岡主将、望月、鷺野ら豊富なメンバーがそろう。スピードで相手をかわしていく松岡、鷺野と、中央を体格を生かしたランで抜いていく望月とがいることでランでの攻撃の選択肢は多い。

一方のディフェンスに目を移すと、速く、強いといった基本的な能力の高さが目につく。立命戦でもラインなど決してサイズで勝っていたわけではないが、速く鋭い動きで立命のオフェンスにビックゲインを許さなかった。その最たるものがエンドゾーン前のディフェンスで、立命、関西大、京都大の3試合で奪われたTDは立命戦の1本だけと水際で得点を食い止めている。副将のDL長島、LB川端、DB香山、重田らなどによるレッドゾーンでのラン、パスの守りは徹底されており、このディフェンスからTDをあげるのは至難の業だ。

そして今年の関学を語るうえで欠かせないのがK大西の存在だ。スコアリングで他の追随を許さない60点を超える得点をたたき出し、リーグのMVPを獲得した。無類の安定感を誇る右足から放たれるキックへの信頼は厚い。

気持ちで勝つ、という意味の「All Grit」をスローガンに掲げた今年の関学。昨年までの甲子園ボウルを逃した苦い経験から、「日本一」を目標に強いチーム、強い個人へなるために練習に取り組んできた。試合中のサイドラインからは自らを鼓舞する声が常に出され、高い集中力を持って試合に臨んでいる。

対戦相手となる日本大はちょうど2007年に関学が甲子園ボウルに出場したときの相手。春に行っている定期戦では圧勝を収めているもの、リーグ戦で昨年の東日本王者である早稲田大を14−10で倒し、関東代表校を決めるあずまボウルでは法政大を27−17の逆転で下すなど、接戦を制してきた勢いがある。松岡は「笛が鳴るまで全員で向かっていく。全員で勝ちをもぎ取りたい」と意気込む。目標の日本一へ残すはあと一つ。青き戦士は凱歌をあげることができるか。