日本一をつかんだ神戸大。選手らは喜びを爆発させ、目に涙を浮かべた。その裏には「ドラマチックであつい1年だった」とWR野村が振り返るように日本一への厳しい道のりがあった。

日本選手権を出場をかけた一昨年の東西王座決勝で、武庫川女子大に2点差で敗れ4年生らが引退。「あの大会を原点にチームがスタートした」と野村。誰もがリベンジを誓い、チームの日本一への戦いが始まった。
しかし、チームの歯車がうまくかみ合わない日々が続いた。「もっとできるはず」。その思いがチームを空回りさせた。昨年春の関西選手権ではまたもや決勝で武庫川女大に敗北。秋季リーグでは1勝1分1敗と不本意な結果で2連覇を逃した。「試合ごとにいっぱいいっぱいだった」(野村)。

転機は東西王座出場をかけた関学・聖和大とのプレーオフに訪れた。4年生にとっては負ければ「引退」の2文字が現実となる。そうした危機感をチーム全体が感じ、一人一人が練習に真剣に取み、何度も話し合いを重ねた。「チーム全体として絆が強まった」と野村。 迎えたプレ—オフでは圧勝。その勢いのまま東西王座では宿敵武庫川女大を倒し、8年ぶりに日本一への挑戦権を得た。

「(試合では)普段通りできていた」と今岡ヘッドコーチ。10年ぶりの日本一に挑んだ神戸大の選手らに気負いはなかった。
社会人王者相手に前半を26-13とリードして折り返すと、第3QにはQB弓山からC田中へのTDパスで得点を重ねた。さらに自陣10ヤード付近で福田がインターセプトに成功すると、そのまま50ヤードを走り切り試合を決定づけるTDを決めた。「道が開いていた。(この4年で)体力やスピードが付いていた。絶対に走り抜こうと思った」と福田。
終盤に追い上げられたもののリードを守り切り日本一を勝ち取った。

○引退する4年生のコメント
福田
「(部を)やめようと思ったこともあった。続けてこれたのは2人(野村、太田)のおかげ。最高の形で終われて思い残すことはないです」
野村
「4年間で普通の大学生活で得られない、お金で買えない、ものを得られた。来年も日本一になるので部員募集中です」
太田
「チームみんなで団結することができ本当に良かった」

●第16回女子タッチフットボール選手権「さくらボウル」(1月3日・東京ドーム)
神戸大(学生1位)  14 12 12 0 =38
ONEPACK(社会人1位)7  6  0  12=25

●最優秀選手
野村