突然キャンパス内に現れた真っ青な巨大なジャージに、道行く学生の視線が集まる。「サッカー日本代表に、ぜひ応援メッセージを書いてください」。こちらも青いジャージを着た「応援魂」のメンバーが声をかけると、続々と学生らが集まり、青地の巨大ジャージは白い文字で埋め尽くされた。「応援魂」の関西代表・岡部太一さん(同志社・3年)は「予想以上です」と興奮を隠しきれない様子だった。

 「応援魂」は昨年3月、早大など関東の学生を中心に発足した。メンバーの中に広告研究会の学生が多かったため、同志社の広告研究会も参加。友人伝いで関西や九州にも広がっていったという。キャッチフレーズは「全ての学生を青に。そして大学を青に」。学生の日本代表の応援率の拡大と、青いジャージを着て応援することの楽しさを多くの学生に実感してもらうことが目的だ。
 当初は日本代表の試合当日に大学でパブリックビューイングを企画し、集まった学生らと応援することが活動の軸だった。実際に6月10日に行われたアジア最終予選のカタール戦や、その7日後のオーストラリア戦は同志社でもイベントを開催した。「日本代表は誰もがシンパシーを抱けるもの。みんなで一緒に応援できるのは楽しい」と話す岡部さんも実はもともとサッカー好きというわけではなかった。「全国で同時にできるなんてこんな活動はあまりないと思う」。

 今回のキャラバンは「応援魂」の活動の第2段。関東、関西、九州各支部のメンバーが持ち回りで全国の大学を行脚してメッセージを集めている。5月24日の筑波大を皮切りに、これまで東北大、宮崎教育大、北大、静大と回り、7000人近くのメッセージが巨大ジャージに書き込まれた。「関西で1万を超えるのを目指す」と岡部さんは意気込む。2日に京都、3日には神戸、その後は下関、福岡とキャラバンは続く。メッセージが書き込まれたジャージは日本代表のサポーターの手で実際に南アフリカまで持って行ってもらえるということで、メンバーらのモチベーションも高い。「内田(篤人)選手とか、僕らと同年代の選手も国を背負って戦っている意味は重い。この活動が選手の力になれば」と岡部さん。

 ゆくゆくはこのプロジェクトが全国の学生の定番に、と夢は膨らむ。「こういう学生からのムーブメントは一種のつながり。大学の壁を越えて協力できれば国の大きな力になると思う」。