ずっと目標にしてきたこの瞬間。ベンチから一斉に飛び出した選手たち。マウンド上の平川は笑顔で仲間たちの輪の中にいた。

初回、二死1、3塁のチャンスの場面、打席には1戦目で復活の本塁打を放った5番小林。
「絶対先制したる」と思い切り振りぬいたバットは、立命先発の徳山が投じた球を上手くとらえた。先制の左前適時打を放ち、なおも二死1、2塁。続く6番生島も負けじと中前適時打を決めガッツポーズ。

2点の先制点を奪った同志社打線だったが、その後は得点に結び付けられず。
緊張感が漂うなか、それでも先発の平川は動じなかった。立命打線を相手に奪った三振は10、被安打5、無四球と完璧な内容。9回こそ立命1番の金子に2塁 打を許し、一死3塁のピンチを招くが「最後は1 点OKの気持ちでいった。怖くはなかったです」と落ち着いた投球で同志社を優勝に導いた。

昨年の秋、対京大戦で初めてつかんだ完投勝利。「もっと練習します」と初勝利を収め頭角を現し始めた平川だったが、優勝争いの末悔しい2位。苦い思いを経験していた。
あれから約半年。そこには成長した背番号15の姿があった。成長の陰には、やはりエース藤井の存在が大きかったという。「藤井さんは全部受け止めてくれる。エースで主将という立場でプレッシャーかかってたから、藤井さんのためにも絶対に勝ちたかった」。

チーム全員がそれぞれの思いを抱え、やっとつかみ取ったリーグ優勝。そして37年ぶりに手にした神宮への切符。小玉監督も「嬉しい。ばんざい」と満面の笑顔。

主将の藤井は「この大学でこのチームメイトとやれるのも最後の年。神宮でもキャプテンとして恥じないプレーをします」と表情を引き締める。もう発展途上のチームとは言わせない。日本一を目指し、いざ、神宮へ。

●関西学生野球春季リーグ第8節2回戦(5月26日・わかさスタジアム京都)

  1 2 3 4 5 6 7 8 9
立命 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
同志社 2 0 0 0 0 0 0 0 2

【立命】●徳山、北岡、永田、澁谷−新田
【同志社】○平川−小林