○中後、12奪三振で完封

 圧巻の奪三振ショーだった。初回、2、3番打者を連続三振で仕留めると、その後はほぼ毎回のペースで12個の三振を奪った。「内容的には十分だった」と本人も満足げ。

 走者を出しても強気で攻め続けた。自らの四球で招いた2回の二死満塁、6回の二死1、3塁のピンチでは、持ち味の直球とこの冬に身につけたチェンジアップを巧みに織り交ぜ、いずれも三振に切って取った。「四球でも次を取ればいいやという気持ちだった」。適度に力を抜いて投げられたことが完封勝利につながったと分析する。

 戦前は右のエース・武内が先発と予想されていた。「相手が武内と読んでくると思っていたので、中後でバッティングフォームを崩してやろうと」という榎本監督の期待に十二分にこたえた。

 ここまで6戦すべて2得点と、いつになく打線が不調の近大だけに、投手にかかる重圧は大きい。「僕ら投手陣は0点で抑えるだけ」。チェンジアップやシンカーなどの球種も増え、投球の幅が広がったことも自信につながっている。

 リーグ戦のあとには全日本も待っているが、「リーグ戦で結果を残した上での話」とばっさり。進化を続ける背番号13には、リーグ優勝しか見えていない。

○同志社、エースを助けられず  

 同志社は藤井を援護できず惜敗。近大先発・中後の緩急つけたピッチングに翻ろうされ、気づけば3安打12三振と手も足も出なかった。  

 2回には二死満塁の好機をつかむも、打者は投手の藤井。相手の先制点はグラウンド状態によるアンラッキーなものだった。不運が重なったとはいえ、12三振のうち、空振りが9つと今ひとつ粘りが足りなかったのも確か。小玉監督は「うちの『あと一歩』という部分が出てしまった」と苦笑いを浮かべた。

 エースを立てて勝てなかったことによるショックは大きいが、明日には2回戦が待っている。前半戦最大の山場で勝ち点を落とすわけにはいかない。

●<関西学生野球春季リーグ第4節1回戦>(4月24日・<南港中央野球場>)

  1 2 3 4 5 6 7 8 9
同志社 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
近大 0 1 0 0 0 0 0 1 0 2

【同志社】●藤井-内堀
【近 大】○中後-柴立

○立命、苦しみながらも連勝  

 効率よく得点を重ねた立命が11日の関学戦に続き連勝を飾った。立ち上がりから積極的に振ってくる京大打線に先発の澁谷が苦しめられ、5回までで3失点。しかし、5回に二死1、2塁から代打の藤田が走者一掃の3塁適時打を放ち逆転に成功したのを皮切りに、8安打で9得点を挙げた。

 松岡監督は「内容的にはまだまだ。打ち続けていけるように頑張ります」と話した。

○京大、食らいつくも及ばず

 昨季王者から先制点を奪い、逆転されたあとも攻め続けた京大だったが、後半失速。実力差を見せつけられた。「野球の怖さがわかり始めたんじゃないかな」と比屋根監督。選手らが手ごたえを感じたことで、逆に硬くなってしまったと指摘した。

 リーグ戦も5試合を戦い、「レベルは上がってきている」(監督)。選手らの意識も変わり、内容以上に結果を求める姿勢が見られ始めている。京大が新たな歴史を作るのは、そう遠くないのかもしれない。

●<関西学生野球春季リーグ第4節1回戦>(4月24日・<南港中央野球場>)

  1 2 3 4 5 6 7 8 9
立命 0 0 0 1 3 2 0 2 1 9
京大 1 0 0 0 2 0 0 0 0 3

【立命】○澁谷、北岡-新田
【京大】安土、内藤、●平井、山敷-新実