○関大、接戦制し2連勝

 1回戦の秋本に続き、この日は吉川が7回と3分の2を投げて11奪三振と好投。打線は京大先発の山敷を打ちあぐねながらも、重盗など足を絡めた攻めで3点をもぎ取り接戦を制した。

 秋本、吉川の両軸に加え、2試合連続でリリーフした横山、前節の同志社戦で好リリーフを見せた近藤など、充実した投手陣を擁する今季の関大。「選抜で秋本、吉川が抜けても、横山や近藤で戦える」と藤田監督は自信をのぞかせる。

 この連勝でリーグ成績は4勝2敗。まだ優勝をうかがえる位置につけている。藤田監督は「同志社戦の2連敗はきつかった」としつつも、「(次節の)関関戦を乗り切って、優勝の芽を残したい」と意欲を見せる。昨秋どん底を経験したチームは、今春生まれ変わって頂点を目指す。

 

○京大、厚い「あと一歩」の壁

 2点差の8回、2死二塁で打者は3番屋城。比屋根監督はこの場面を「勝負のアヤ」として挙げた。監督からのサインは「初球セーフティーバント」。代わった直後の相手投手の出鼻をくじく策だったが、屋城はこのサインを見逃し、空振りの三振。逆転の芽を自ら摘んでしまった。

 5回から8回まで毎回先頭打者が出塁したが、そのランナーをきちんと2塁に送れない。追い込まれたカウントからバスターを試み、併殺という場面も。比屋根監督も「流れをこっちに呼んでも一球でしっかり決めれない」と課題として挙げる。

 この試合は山敷が3失点完投。力投に勝利という形で応えるためには、「あと一歩」成長が必要だ。「下級生も育てつつ、4回生も使いつつ、ゲームを壊さないように」(比屋根監督)。課せられた枷は重いが、勝利までの「あと一歩」を模索する戦いは続く。

●<関西学生野球春季リーグ第3節2回戦>(4月18日・<皇子山球場>)

  1 2 3 4 5 6 7 8 9
関大 0 2 0 0 0 0 0 1 0 3
京大 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

【関大】○吉川、横山-永松
【京大】●山敷-新実

○近大、サヨナラスクイズで逆転勝ち

 トリックプレーが敗戦寸前のチームを救った。1点を追う9回、打ちあぐねていた関大先発の樫岡を攻め2死満塁。打席に入った築山に出されたサインは、意表を突く「セーフティースクイズ」。三塁線に転がした打球が一塁へ届くより一瞬早く、築山の手が一塁ベースに触れた。気迫のヘッドスライディングで値千金の1点をもぎとった。

 大接戦に幕を下ろしたのも築山だった。連打で1死一、三塁とした延長11回、今度は一塁線に転がしサヨナラ勝利を呼び込んだ。「初球外されたとき敬遠あるかなと思ったけど、一球でもストライクが来たらやろうと思っていた」と築山。ベンチからの指示ではなく、打者と走者の間でのサインで決まったこのプレー。最後に試合を決めたのは、選手らの勝ちへの執念だった。

 2つのスクイズで勝利の立役者となった築山は普段セカンドの控えで、昨年は一度も打席に立つ機会のなかった伏兵。スタメンの生駒よりも足は遅いが、バントに関しては「本当にうまい」と榎本監督も信頼を寄せる。「普段から練習している」というスクイズで2打点の活躍に「最高。気持ちよかった」と満面の笑顔を見せた。

 苦しい試合を勝ち抜け、開幕4連勝を飾った近大。ロースコアでの接戦が続くが、勝負所での粘りで一つも星を落としていない。次にあたる同志社は、立命と並び「特に意識している」(榎本監督)と話す相手だ。油断の出来ない混戦模様のリーグ。それだけに、今日の一勝が持つ意味は計り知れない。

 

○関学、好投樫岡9回に落とし穴

 先発の樫岡は8回まで4安打無失点と近大打線をほぼ完璧に抑える好投。清水監督も「自分本来のピッチングが出来ていた」と讃えたが、惜しくも9回を抑えきることが出来なかった。

 近大先発の中後から6回に先制点を挙げたものの、それ以降打線がつながらなかった。延長11回にようやく2死満塁とチャンスを作ったものの、中後をリリーフした森田を打ち崩すに至らず無得点。決定機を逃し、サヨナラ負けで連敗を喫した。

 「今日は勝ちたかった」。つかみかけていた勝利を取りこぼし、清水監督は悔しさを隠そうとしなかった。「次は何としても勝たないと」と話す指揮官の表情には、ありありと危機感が浮かんでいた。

●<関西学生野球春季リーグ第3節2回戦>(4月18日・<皇子山球場>)

  1 2 3 4 5 6 7 8 9
関学 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1
近大 0 0 0 0 0 0 0 0 1 2

【関学】樫岡、●蒔野-小林祐
【近大】中後、○森田-柴立、山本優