まず、「事業仕分けで国立大の予算が見直しと判断されたことを知っているか」という問いに対して文系の144人(約62%)、理系の118人(約59%)が「知っている」と回答した。次に「予算の見直し判断について、自分にとって関係のあることだと思うか」という問いに対しては、文系の144人(約62%)、理系の146人(約73%)が「関係ある」と答えた。

 また「関係ある」と回答した人に、どのように関係してくるか、を自由に回答してもらったところ、「研究費用の削減」(56人)、「研究・学習設備の減少」(44人)、「研究・授業の質の低下」(37人)といった回答が上位を占めた。理系を中心に、大学の基幹となる研究・教育の質が低下することを危惧する声が突出した形となった。その他、予算が削減された場合、大学当局が2005年以来となる「授業料の値上げ」に踏み切るのではないか、と心配する意見も多く聞かれた。

 仕分け人の評価は、「教育・研究についての費用はしっかり整備すべき」とする一方で、国立大の運営に対して「民間的経営手法の徹底」を求めている。この方針の下で見直しが進められるならば、研究・教育の質は維持されるはずである。しかしその費用をねん出するため、授業料値上げなど何らかの手段がとられる可能性は否定できない。

 問3では事業仕分けへの賛否を質問した。文系の94人(約41%)、理系の104人(約52%)が「どちらともいえない」と答え、判断を保留する姿勢が目立った。「どちらともいえない」理由としては「分からないから」との理由のほか、「プロジェクト自体はいいが見直し判断にはもっと時間をかけてほしいから」(阪大・1年)といったように、事業仕分け自体には賛成でも、見直しの仕方に疑問があるから、という理由を挙げた人が40人に上った。文系、理系ともに賛成票が反対票を大きく上回ったことからも見られるように、学生は事業仕分けという試み自体は歓迎しているようだ。理由としては、「無駄なものは見直すべきだから」(神戸大・4年)のように、予算の無駄をカットする試みを評価する意見が49人と突出して多かった。

 最後に「予算の見直し判断について」の賛否を質問した。文系の111人(約48%)、理系の108人(約54%)が「どちらともいえない」と答え、事業仕分けへの賛否以上に保留する意見が目立った。こちらも事業仕分けのやり方を疑問に思う意見が多かった。問3の結果と大きく異なった点は、文系、理系ともに反対票が賛成票を上回った点だ。反対の理由としては、事業仕分けのやり方に疑問があるため、という理由のほか、「資源に乏しい日本を成り立たせているのは優秀な人材であり、その教育や育成にかけるお金を減らすことは考えられない」(京大・3年)など、人材育成など長期的視野に欠けているから、という意見も見られた。