○関学、PK戦で辛くも勝利
 
 攻守の要、DF志田野、MF阿部の欠場。「打倒関東」を掲げる関学は、インカレ初戦、耐えに耐え抜く試合となった。
 
 自分たちのペースがつかめず嫌な時間帯が続く。その状況に終止符を打つためにベンチが動いた。速さのあるMF浦島とFW持田を投入。持ち味のスピードを活かしたパス回しで、流れをぐっと引き寄せるが決定力不足。決着はPK戦まで持ち越すこととなった。
 「ヒーローになる」(ゲームキャプテンGK長井)。この日、ナイスセーブを見せていた長井がPK戦でも気迫を見せ、4-3で勝利。勝利の瞬間、イレブンはほっとした表情をみせた。
 
 準々決勝は駒澤大との対戦。高さもあり混戦が予想されるがこの試合から阿部が復帰の予定だ。「点取れるエースが戻ってくる」(DF津田)。「次の試合が最高の試合になるように結果を出したい」と永井は話した。
 
 
 
○関大、高知大を一蹴
 
 流れの中からチャンスを作れない関大は1-1で迎えた後半17分。MF中村のFKからこぼれ球をDF平野が蹴りこんだ。「目の前にこぼれてきたんで、これは押し込むいしかないと思った」と勝ち越し弾をあげたときの心境を話した。
 
 攻撃面で存在感を見せた平野。後半25分にも、相手の裏へ一本のロングパスを送り、MF藤澤のゴールを演出した。しかし2点を許したことに「(高知大の)前線3人がどんどん裏にきて、マークがうまくつけなかった」と対応できなかったことに悔んだ。
 
 ようやく調子を取り戻してきた関大は後半23分。中央で藤澤がドリブルで3人を抜くと、左サイドを駆け上がった中村にパスがつながりセンタリング。真ん中で待っていたFW金園が相手ディフェンスとの競り合いに勝ち追加点を決めた。関大らしいピッチを広く使ったサッカーでゴールネットを揺らした。終盤にセットプレーから失点を喫するも、夏の総理大臣杯ファイナリストの高知大を退けた。
 
 「90分通してミスの多さに驚いた」と島岡監督が話すように緊張からか、動きが硬かった。その状況でセットプレーからの得点は大きかった。「セットプレーでとったことが大事」と内容は良くない中での収穫に笑みを浮かべた。
 
 次戦は関東チャンピオンの流経大。攻守ともに代表級の選手をそろえる強豪。悲願の日本一へ最大の山場を迎える。

 
○立命、健闘も惜敗
 
 敗れはしたものの集大成と呼ぶにふさわしい最終戦だった。
 
 MF福本やDF前野ら主力選手をインフルエンザで欠き、リーグ戦から大幅なメンバー交代を余儀なくされた。だが、代わりに入ったメンバーが主力の穴を十二分に埋める活躍。ベストメンバーで挑んできた夏の総理大臣杯王者・福岡大を相手に堂々の戦いを見せた。
 
 試合は福岡大の猛攻に、押し込まれる展開となったが、高い集中力と豊富な運動量で凌いだ。また攻撃の際も、全員が上がるのではなく常にディフェンスがバランスをとり、徹底して福岡大のカウンターに備えた。
 
 だが後半24分に一瞬の隙をつかれ、最も警戒していたカウンターから失点。キャプテンマークをつけてピッチに立ったMF内田は「相手がカウンターを狙ってくることはわかっていただけに、悔しい」と試合後、涙目で話した。
 
 その後、途中交代の4年生のFW玉林やFW斎賀らが攻撃の流れを作り、決定機を演出したものの、得点には結びつかず、試合終了。90分間を全力で戦い抜いた選手らの目には涙が光った。
 
 「負けたけど、よいものは見せられた。(試合内容)全てにおいて負けた訳ではない」と大健闘の選手らを讃えた米田監督。
 
 昨年、入れ替え戦を経験したチームは今年、「勝つために」をチームのスローガンに大きく成長した。来年もより一層、飛躍に期待がかかる。
 
 
 
●第58回全日本大学サッカー選手権大会1回戦(12月19、20日・国立西が丘サッカー場ほか)
 
関学 0 0-0 0 広島修道大      0-0      0-0(延長前半)      0-0(延長後半)      4-3(PK)
 
関大 4 1-1 2 高知大      3-1 【関大】オウンゴール、平野、金園、藤澤 【高知大】布施、中野
 
立命 0 0-0 1 福岡大      0-1  【福岡大】高橋