映画に世界を込めて
京都学生国際映画祭は、国籍などを問わず優れた学生映画を発掘することを目的とし、1997年から開催されている。今年は海外作品82本を含む243本が応募され、実行委員会による審査を経て12本の入選作品が選ばれた。
入選作品の中から3名の専門家による最終審査で、グランプリに選ばれたのは「Mother is a whore」。韓国から応募された作品で、イ・サンウ監督は自ら主演も務めた。母と息子の愛情を軸に、歪んだ家族の愛憎を描いたドキュメンタリー風の作品で、審査員らから圧倒的な支持を得た。最終審査員の1人である伊藤高志・京都造芸大教授は「本当に傑作。技術的にも大変優れていて、ちょっと学生映画とは思えないほど」と絶賛。イ監督は討論会で、「母親というテーマは自分にとって捨てられないもの」と思いを語った。また準グランプリには「世界グッドモーニング!!」と「Martina and the moon」の2作品が選ばれた。
実行委員らと最終審査員、そして受賞監督で行われた徹底討論では、表現方法や学生映画のあり方について白熱した議論が交わされた。審査員からは厳しい指摘やアドバイスも飛び、学生監督らは真剣な表情で聞き入っていた。
学生映画の魅力について「作っている人を作品のすぐ向こうに感じられること」と話すのは、実行委員長の井並林太郎さん(同志社・4年)。閉会のあいさつでは感極まって涙を浮かべた。「今年はいい作品といいスタッフに恵まれた。誇りを持っている」と話し、達成感をにじませた。
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