関学、サドンデスビクトリーで名城大振り切る

 AT木下のショットが決まった瞬間、関学の選手は諸手をあげて喜び、名城大の選手はバタリと地面に倒れこんだ。真っ赤になった関学マネージャーの目からは、大粒の涙がこぼれ落ちた。

 試合終盤に、2失点を喫し勝負は延長戦にもつれ込んだ。先に点を取った方が勝ち、というサドンデスビクトリー方式。「勝てる、というより、やばい、と思った」。G矢山主将が、延長戦が決まったときの胸中を明かした。実は今まで、全国の舞台で関西学生が、東海学生に負けたことはない。「プレッシャーが極限だった」(矢山)。

 プレッシャーに萎縮しそうになるところ、一人違う決意をしていた男がいた。「僕のショットで、勝負を決めてやる」(木下)。身長は160センチ台で、体は大きくはない。だが、ハートは人一倍大きかった。

 AT森山のゴール裏からのパスを受ける直前、体の位置を変え、相手の守備陣をかいくぐる。ショットコースは見えなかったが、「強引に打ってやろうと」、クロスを振りぬいた。「体が小さい分、常に相手より先に動いて有利な状況を作ることを意識している」と話す小兵の活躍で、関学は劇的勝利を飾った。

 「もうちょっと楽に勝ちたいところだった」と立花ヘッドコーチは話す。「試合序盤に積極性が足りなかった」ことが苦しい試合展開につながった。決勝戦では関東学生王者・一橋大と対戦する。個人能力が高くオフェンス能力がある相手に対して「いかに守りきり、鋭い攻撃で点を奪えるか」とヘッドコーチ。ロースコアの展開に持ち込み、少ないチャンスをモノにしたい。

○大国大は圧勝で決勝へ

 全てにおいて南山大を圧倒した。常に笑顔、パフォーマンス大好き。元気印の大国大が、東海学生王者に圧勝した。

 特に、パスの精度が見事だった。常にボールを保持し、相手ゴール前でも落ち着いたパス回しで次々とネットを揺らしていく。それでも「グラボ(こぼれ球)の処理だとか、簡単なブレイク(速攻のカウンター攻撃)でミスが多かった」(AT牧野)というから恐ろしい。

 13得点、13スマイル、13パフォーマンス。そこには「関東の舞台で目立つことで、関西・大国大の存在を全国の人に見せたい」(AT林主将)という思いがある。昨年度、関西で初優勝すると見事連覇。徹底したチーム内規律と明るい雰囲気で、大躍進を遂げてきた。

 初代大学王者まであと1勝。東海大には昨年、サブチームの相手に対してトップメンバーで挑み敗れた過去がある。でも「それは1年前のことなんで」(牧野)。最後まで臆せず戦い抜くつもりだ。

 

●第1回全日本ラクロス大学選手権大会準決勝(11月28日・大井ふ頭中央海浜公園第二球技場)

 

男子

 

               計      
関学 1 0 2 0 0 1x 4x       
名城大 0 0 1 2 0 0  3      

 

 

女子

 

 

       計              
大国大 6 7  13              
南山大 1 1  2