攻めた。ただひたすら、がむしゃらに攻めた。それでも社会人の壁は高かった。史上初の決勝進出、そしてその先にある全日制覇。もう少しで届きそうだった夢。しかしあと一歩届かなかった。試合終了のホイッスルと共に、チームの1年が終わりを告げた。  立ち上がり、パスミスで流れをつかみきれないファルコンズに対し、京大は第1Q3分、MF伊藤(2年)が右サイドを一気に駆け上がり、パスを受けたMF吉川(4年)が鋭いショットを決め先制点を挙げる。これで勢いに乗った京大は止まらない。吉川が7分にもゴールを決めると、エースのAT安達(4年)も第1Q終了間際に技ありのゴ ール。第2Qに入っても安達の今日2点目となるゴールなどで2点を追加した。  ディフェンス陣の踏ん張りも素晴らしかった。DF中井(4年)を中心としたゾーンディフェンスで、執拗に中を窺うファルコンズオフェンスに決定的なチャンスを与えない。守護神G夏池(4年)はゴールの前に仁王立ち。好セーブを連発し、1回戦で立命から18点を奪ったファルコンズを、前半2点に抑え込んだ。  第3Q3分、またしても安達が押し込むと、AT黒田(4年)も続き、差を5点に広げる。このまま京大ペースで試合が続くかと思われたが、このクォーターの中盤から暗雲が立ち込める。2点を返されると、第3Q終了間際に中井とLMF志水(4年)がファウルを取られ、2人少ない状況で第4Qに突入。ここぞとばかりに猛攻を見せるファ ルコンズ。前半とは打って変わって京大は防戦一方。じわじわと差を詰められ第4Q10分、ついに同点に追いつかれてしまう。更にその2分後には左サイドから押し込まれ、逆転を許す。これ以上点差をつけられるわけにはいかない京大は、必死に食らいつき、残り47秒執念でチェイスをものにし、最後の反撃にすべてを賭けた。しか し、安達の放った渾身のショットは無情にも敵ゴーリーのセーブに阻まれ、直後ブレイクで大きな1点を失い、万事休す。  第3Q中盤からまさかの7連続失点。一度はつかみかけた勝利だった。それだけにショックも大きい。試合終了と共に、選手たちはフィールドにうずくまった。1年間チームを引っ張ってきた主将の原田。「今日の試合で全てを出そうと思った。後半は力が及ばなかった」と無念さを隠せない。エース安達は、7月の練習中に腰 椎分離のケガを負い、今日の試合も痛み止めを飲んで出場していたことを明かした。それほどの気概で挑んだ準決勝。社会人王者ファルコンズのDF竹内主将をして「本当に負けを意識した」と言わしめるほど、見事な戦いを見せてくれた。  原田や安達、夏池など今年の主力であった4年生はこの試合をもって引退。これから来年へ向けて、今の3年生を中心としたチーム作りが進められる。横田ヘッドコーチは「悔しい思いを後輩たちが受け継いで、強いチームを作ってくれると思う」と期待を込めて話した。4年間のラクロス生活を「本当に楽しかった」と振り 返った安達。後輩に「日本一を目指してほしい」と思いを託した原田。日本一を目指して走り続けた1年間。その軌跡はフィールドに残り、次の世代へと受け継がれる。下級生は、今日の涙を心に刻み、栄光目指して走り出す。来年こそは悲願の日本一を成し遂げると誓って。 ●第19回ラクロス全日本選手権男子準決勝(12月14日・鶴見緑地球技場) 京    大 3 2 2 0=7 ファルコンズ 1 1 2 5=9