五輪中、最も感情が爆発したシーンの心境について、朝原さんは400メートルリレー決勝でメダル獲得を知り思わずバトンを放り投げてしまった時のことを 挙げた。「嬉しかったのはもちろんだが、それよりもプレッシャーから解放されたと思った」(朝原さん)。一方、2回戦で韓国人選手を破りマスクを投げた太 田さんは、「普段は道具を大切にしているんで、投げるなんて絶対しないんですけどね」と朝原さんのほうをチラリ。すかさず朝原さんが「おい」と突っ込み、 笑いを誘った。五輪直前の調整方法やトレーニング、選手村の話など、知られざるエピソードも数多く語られ、聴衆の拍手喝采を浴びる場面が見られた。

 アマチュア選手へのサポートや五輪での日本のメダル減を課題とする日本スポーツ界。2人は原因を選手へのサポート体制の脆弱さとし、長期的視野に立った企業のサポート、マイナースポーツへの金銭的支援などが必要であると訴えた。

 指導者になる朝原さんに向けて、「選手に答えを教えず、頭を使わせるコーチになってほしい」と太田さん。スポーツに必要なのは「相手を尊敬すること」と話していた太田さんに向け、「結果だけではなく、競技を通じて成長を楽しんでほしい」と朝原さんはエールを送った。