大体大が22年ぶり2度目の全国制覇
○2年生FW川西が2ゴールの活躍
試合後、ロッカールームでむせび泣いた。「嬉しいの一言」。表彰式とミーティングを終え、緊張の糸が切れる。感情が、涙となって頬を伝った。
FW川西。文句無しのヒーローだった。前半19分、DF2人をドリブルでかわす。「コースが空いていた」、迷わず左足一閃。試合の流れを引き寄せる先制弾だった。
続いて42分、DF山道主将の縦パスに抜け出す。相手DF2人を置き去りにすると、GKとの一対一。これを冷静に決め、2-0。「気持ち良かった」。後半25分にお役御免。万雷の拍手を背に、ピッチを後にした。
「前半20分を耐える」(坂本監督)。このゲームプランがハマった。立ち上がり、阪南大の猛攻を凌ぐと、徐々に攻勢に出られるようになる。そこで冒頭の、川西2発。「たまたまですよ」。指揮官は謙遜するが、試合展開はこっちのものだった。
翻って6月7日、関西選手権決勝、相手は阪南大。大体大は0-1で敗れ、関西王者になれなかった。「リベンジ」。選手らが口を揃えて、今日の一戦への意気込みを口にしていた。
教育実習で、前回出場できなかった4年生の主力が復帰。「最後は気持ちでした」、坂元監督が笑顔を見せた。2回戦・準決勝と2度の延長戦。その疲れも感じさせず、阪南大に完勝した。「リベンジできて嬉しい」(川西)。見事に雪辱を果たした。
関西2部チームの総理大臣杯優勝は史上初。並み居る強豪たちを破って栄冠を手にした。「次は1部に戻って、来年インカレに出て、全国制覇する」と川西。嬉し涙を拭い、新たな航海に彼らは出発する。
○大体大イレブン、喜びのコメント
GK松本「無失点に抑えて、優勝できたことが嬉しい」
DF松尾「2部に落ちてドン底を見たから勝てた」
DF吉村「自分たちのサッカーを続ければ勝てると思っていた」
DF込山「リベンジしたかった。気持ちで後半を乗り切った」
DF橋本「チョー気持ち良い!1部に行くしかない」
MF山道「日本一は誰でもできることじゃない」
MF田所「狙い通りの試合。1部に上げて卒業したい」
MF村田「個人的にはダメだった。でも優勝できた」
MF福島「応援してくれたみんなと一つになれたから勝てた」
FW川西「チームみんなが守ってくれたからこその2得点。みんなに感謝したい」
FW熊元「自分がボールをそらしたら、川西が決めてくれると思った」
○阪南大、決勝に散る 自慢の守備が崩壊
阪南大が、ついに屈した。
「立ち上がり、攻めてるときに点が取れなかった」。FW西田主将が唇をかむ。続けて言葉を漏らした。「僕の責任です」。
最終ラインにはDF野田と、DF吉川が復帰。主力選手が決勝に揃ったが、これが裏目に出てしまう。
「久々で試合勘が鈍ってたのかも」と西田は話す。最終ラインが安定せず、前半19分に先制点献上。2失点目は完全にDFの裏を突かれた。「僕もびっくりした」と主将が驚くほどのミスだった。
敗れたとはいえ、関東勢を破っての準優勝。安定した戦いでここまで勝ち上がってきた。その実力は本物だ。試合後の整列から、ロッカールームに戻るまで、西田は下を向かなかった。胸を張って会場を後にした。「この悔しさはインカレで」。涙は、栄冠を掴むその日までとっておく。
●第32回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント決勝(7月12日・大阪長居スタジアム)
大体大 | 2 | 2-0 | 0 |
阪南大 |
0-0 | ||||
川西2 |
得点者 |
|
コメントを残す