スタジアムの誰もがざわめいた。後半42分、右サイドを崩し、中京大が待望の決勝弾。試合終了まで残り3分、流経大にはもう、追いつく力は残っていなかった。

 前半はペースを掴めずにいた。流経大MF三門のダイナミックな動きに翻弄され、MF楠瀬の個人技を誰も止められなかった。決定機も多くつくられた。それでも最後の最後で、粘りのDFでにゴールを割らせなかった。

 後半に入ると、じわじわと中京大がペースを掴み始める。後半19分、両指揮官は同時に選手交代を行う。出すのはどちらも10番。流経大は独特なリズムのドリブルをする1年生FW林、中京大は小柄ですばしっこいFW森本り。この交代が、試合の結果を決めた。

 森本りが積極的なチェイシングと確かなボールコントロールを見せると、中京大が前線でボールを収められるようになる。じわじわと効くジャブのような森本りのすばしっこい動き。

 後半42分、ジャブで疲弊した流経大に強烈なストレートが入る。MF福井が右サイドを駆け上がり、中央にクロス。受けたFW吉川が右足一閃。昨年度覇者の流経大をノックアウト。

 これで中京大は準決勝進出。守備陣が奮闘し、全員がよく走る。そして小気味良いパスサッカー。流経大を破ったのは決してまぐれではない。90分トータルで見れば内容も五分五分だった。対するは公式戦14連勝中の地元・阪南大。「公式戦でやるのは初めて」と砂田監督。ファイナルへの切符を手にするのはどちらか。

●2008年度総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント2回戦(7月8日・大阪長居第2陸上競技場)
 

中京大 1 0-0 0

流経大

1-0
吉川 得点者