PK、右足、ダイビングヘッド。「おいしかった、奇跡です」。前半だけでハットトリック、FW金園(2年)がおどけた。

 いつも試合前は、アデバヨール(英プレミアリーグ・アーセナル)のプレーシーンを見ているという。「動き出しがすごい、あんなんになりたい」。イギリスと関西、場所は違えど、関大のエースの存在感はアデバヨールと遜色なかった。

 「彼らしいプレーを見せてくれた」(川端監督)。「ゴール前の嗅覚もすごいけど、もっとすごいのは前線からのチェイシング」(MF大屋主将・4年)。指揮官とキャプテンが手放しでエースを褒めた。「初めて蹴った」PKで先制点を挙げて波に乗ると、2点目で真骨頂を見せる。バックラインでボールを回す相手DFのスキを逃さず、チェイシング。気迫でボールを奪うと、落ち着いて右足を振り抜いた。3点目はFW佐藤悠(3年)の絶妙クロスに飛び込んだ。ハットトリック達成だ。

 実は、花粉症で練習がままならなかった。「目が見えなかったくらいひどかった」。試合にも鼻孔拡張テープを使用して臨んだ。なんとか息はできるようになったが、試合開始からピッチ狭しと駆け回ったため、「前半終わりくらいにバテました」。浪速のアデバヨールも、花粉症には勝てなかったようだ。

○試合分析
 リーグ首位をひた走る関大。安定した結果を出せない京産大。今日は両者のチーム事情が、結果にくっきりと表われた。「春の関東遠征を経て、チーム全員の意識が変わった」(大屋)。もともと技術・戦術理解力がある関大が、運動量まで手にしてしまえば、鬼に金棒。金園・佐藤悠が相手DF陣をかく乱させる上に、関西ナンバーワンボランチの呼び声高い大屋が前線にも顔を出す。MF藤澤(2年)のドリブルも脅威だ。「京産大にはスペースがありまくりだった」(大屋)。いとも簡単に、前半だけで3点のリードを奪った。

 後半に入ってもその図式は変わらない。京産大は焦りからファールが目立つようになる。もちろん京産大の運動量が決して少ないわけでも、彼らが球際に甘いわけでもないのだが、関大とはレベルが違う。関大は、差し出されたスペースを着実に突き5ゴールを奪い快勝。対する京産大の反撃は、セットプレーからの2点のみだった。

 5-2。それでも、指揮官とキャプテンはその結果に納得がいかない。「金園のゴールなど、高い位置でボールを奪う攻めは出来たが、中盤からのビルドアップがまだまだ」(川端監督)。「勝てたのは良かったけど、無失点でいきたかった」(大屋主将)。2年振りのリーグ優勝に向けて絶好のスタートダッシュを切った関大。彼らの目指す場所は関西一ではない。「僕らは全国の頂点を目指している」(大屋)。更に高次元なサッカーを見せてくれることに期待したい。

●2008年度関西学生サッカーリーグ第4節(4月26日・鶴見緑地球技場など)
 

関大 5 3-0 2

京産大

2-2

金園(前半6分、13分、33分)

藤澤(後半18分)

佐藤悠(後半44分)
 

得点者

渡辺(後半22分)

足立(後半44分)

 

びわこ成蹊大 2 0-1 1

桃山学大

2-0

鳥濱(後半8分)

篠部(後半14分)
 

得点者

斉藤(前半29分)

阪南大 1 0-0 0

大院大

1-0
木原(後半37分)
 
得点者  
近大 2 1-0 0

姫獨大

1-0

平石(前半44分)

前田(後半40分)

得点者

選手1
選手2

関学 0 0-0 0

大教大

0-0
  得点者