事故への思いを本に
「その日を境に、突然、僕の人生は闇のなかに放り出されました」。(体験記本文より)
平成17年4月25日の朝。入学して間もない山下さんは大学に向かうため事故列車の1両目に乗っていた。午前9時18分頃に列車がJR尼崎駅近くのマンション地下駐車場に激突。山下さんは18時間後に救急隊員に救出されたが、長時間圧迫された車内にいた為、両足に重傷を負った。10カ月の入院を経て、平成18年4月に復学を果たした。現在、両足に装具をつけ、杖をつきながら大学生活を送っている。
今までは主に自分で作った曲をギターで弾きながら事故を伝えていた。今回、初めて文章で伝える。「本は全国の人に思いが届く」。山下さんは話す。
体験記では、事故発生当時から今までの経験、思いが綴(つづ)られている。『18歳の生存者-JR福知山線事故、被害者大学生の1000日』(双葉社)とつけたタイトルには「1両目の模様を伝えられるのは僕らだけ」との思いがある。
体験記を出版することにより事故の悲惨さを訴えるだけでなく、事故に関係のない人に対しても「どん底からはいあがってきた記録を見て、何かを感じ取ってほしい」と山下さん。「悩んでいる人を励ませれば」と期待をこめた。
体験記は今月21日に販売される。
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