祝日の会場には、社会人や大学生だけでなく、大学受験を控える高校生らも訪れ、講演に耳を傾けていた。

 今フォーラムの全体のテーマは、近年世間で話題となっている「国際化」。

 基調講演で、金田一さんは「国際化」とは異なる価値観と接触できることが可能になることを指すとの考えを述べた。学生に向け、「若いうちは色んな価値観に触れた方がいい」と話し、大学の設備、サービスなどを積極的に利用することを勧めた。

 平成19年に卒業した4大学の卒業生4人と金田一さんを交えてのトークセッションでは、在学時の体験談、各大学の魅力などが話された。

 パネルディスカッションでは、関関同立の学長が大学の取組などを講演した。

<<河田悌一・関大学長>>
開口一番、基調講演の内容に触れ、「大阪は外国である。関東の人たちが来たら異なる価値観に触れられるので是非大阪に来てほしい」。会場がどっと沸いた。
河田学長は「国際化」を、居住形態などがどの地域でも均一化されることと捉える。交換留学制度の他に、ベルギーの大学と協定を結びEUの研究を共同で行うなど、海外の大学との共同研究にも力を入れていることを発表した。

<<平松一夫・関学学長>>
米宣教師のウォルター・ラッセル・ランバスを創始者とする関学。元は海外と接する機会が多い港街の神戸にキャンパスが立地していた。そのような歴史から、 特にアメリカとカナダのつながりが大きい。「自らのルーツを大切にする。原点を忘れずに、その上で(価値観に捉われない)自由な校風、学生を創っていきた い」と平松学長。
また、スリランカなどに研究者を派遣しIT分野の技術を伝える国連ボランティア計画(UNV)のプログラムが、関学が中心と なって運営されていくことが決定したことなど、「国際化」に対応した事業を発表。「文化の違いを乗り越えるきっかけとなれるように(事業を)やっていきた い」と意気込んだ。

<<八田英二・同志社学長>>
同大の教育理念の「キリスト教主義」、「自治自律主義」、「国際主義」。これ らの理念に対応するには、八田学長はコミュニケーション能力、豊かな教養を持ち、異文化を理解できる人材の育成が不可欠とする。八田学長は、大学は自分の 育ったところ以外を選び、知識を増やすべきと提案。異文化を知るには、まず日本を知ることが重要との考えも発表した。
交換留学などの制度の整備だけでなく、海外の大学との共同研究の体制を整備し「『研究の同志社』と呼ばれるようになりたい」と意気込んだ。

<<川口清史・立命学長>>
インターネットなどの普及により、大手企業の本社が集中し情報が集積している東京などを経由せず、日本の大学が海外と直接つながることが可能になった。こ の状況に、「人と人のつながりが重要」となると川口学長は考える。その中で、立命は日本の文化、特に京都を世界に打ち出すことを使命とする。使命を具現化 するため、日本の文化をデジタル化する試みを現在行っているという。
学生に向けて、留学制度など海外の大学との交流を支援するプログラムを用意 していることを発表。「留学生とつながりを持ち、討論できる場を作ってほしい」と川口学長。「大学の4年間は失敗が許される期間。自分で何かやってみてほ しい。それを(大学は)支える」と学生に向けて話した。