「貧困と平和を考えるきっかけに」
京都外国語大学イマジン・ピース実行委員会実行委員長の西村美保さん(京都外大・3年)は「平和(を考える)にはいろいろな方法や形がある。これが、イマジン・ピース。実際に平和に向けて活動している人を見て、感じて、考えて、貧困と平和を考えるきっかけにしてほしい」と話した。
●ハンガーバンケット~貧富の差を考える食事会~
ハンガーバンケットは先進国や発展途上国の食事を体験する事で、飢餓で苦しむ人達の存在を、参加者に感じてもらう事が目的だ。
食事会では、まず参加者66人をくじ引きで現実世界の貧困、飢餓と同じ比率にしたがって、第一世界15%、第二世界30%、第三世界55%にわける。第一世界は日本などの先進国、第二世界はメキシコなどの中流国を指す。第三世界はルワンダなどの貧困や飢餓を抱える国だ。第一世界の人は数種類の飲料から好きなものを選び、ピザやチラシ寿司、デザートなどを食べる。第二世界の人はひき肉と豆などを煮たものとお茶だ。第三世界の人はテーブルを使わずにブルーシートの上で蒸した芋と水を食べる。
最初、第三世界のくじを引いた人達は、自分の運の悪さと芋を見て笑った。ところが、ガーナ出身の男性が自国の貧困状況を語り、「先進国の立場ではなく、第三世界の立場に立って貧困と飢餓を考えて欲しい」とスピーチをしたあとに、雰囲気が変わった。
その後のディスカッションでは、第一世界の参加者からは「第三世界の人たちの目が気になって食べられない」、第二世界からは「分けてあげたいけど、自分の分で精一杯」、第三世界からは「残す程余っているなら作らないでほしい」という意見が挙がった。
スタッフの多賀香奈絵さん(京都外大・2年)は「こっちが教わる事が沢山あるので、貧しい人を助けているという実感はない。ボランティアをすると特別な活動をしたように、他人から見られる。そうではなくて、日常的に貧困をなくし平和を求める活動が普及したら良いと思う」と話した。
●Images of Peace(イメージオブピース)
イメージオブピースは世界の子供達、日本の子供達、ストリートチルドレンの描いた絵を通して『平和』とは何かを考える絵画展。創立60周年にちなんで各それぞれの子供達ごとに60枚の絵が展示された。
世界の子供達が描いたものには、その子供が身近で体験したことが見られた。多くは『家族』『動物』の絵だが、『戦争』『自分の内にある傷』をテーマに描いたものもあった。日本の子供達の絵は『家族』『友達』の笑顔が主だっていた。ストリートチルドレンの絵は『車・家・花・鳥』などの風景画が取り上げられていた。
「言葉は通じなくても、絵から感じとることはできる。絵は人の心を写すもの」と青野有里子さん(京都外大・2年)は、振り返った。
●ゲストスピーカー
ゲストスピーカーは、貧困削減や平和運動などのアクションプランを実行している人々による講演。アクションプラン・模擬国連会議の参加者のアクションプランを立案するヒントになるように、一般の参加者には「貧困を知ること、考えること、そして実行する」きっかけになってほしい、と企画された。
ゲストスピーカーの一人である、「宝塚・アフガニスタン友好協会」創設者の西垣敬子さんは、画像を使い、アフガニスタンで行われた女子寮建設の活動を講演。講演後の質疑応答では、司会者がストップをかけるほど多くの質問が寄せられた。
●PGL
PGLは、Peace as a Global Languageの略。これはGlobal Languageである英語を通して、「平和もGlobalに」と構成されたもの。内容としては、英語を使用言語として、ワークショップやディスカッションが行われた。
「Am I Japanese or American?」というテーマを設けたクラスでは、第二言語を取得することによって、新しい自己が形成される過程が講義された。参加者は大きく頷いたり、積極的に意見を言っていた。また他のクラスでは、講師同士が交流したり、一つの机に集まり、時間いっぱいディスカッションする場も見られた。
●チャリティーパーティー
チャリティーパーティーは三条木屋町(京都市)にあるアイリッシュバー&レストランで開催された。チャリティーコンサートでは、フォークソングを歌う「紙ふうせん」が京都外大森田記念講堂で曲を披露。チャリティーパーティー、コンサートともに、「会議だけではなく楽しめるものを」と企画された。
チャリティーパーティーは、「チケット一枚のお金でジンバブエの子供が一年間学校に通える」がサブタイトル。参加費2500円のうち2000円がジンバブエの団体「The Zienzele Foundation」に寄付される。パーティーでは、バイキング形式の料理、学生やプロのライブミュージック、抽選会と盛りだくさん。抽選会では1口200円で、デジカメ等の景品があたり、しかもその抽選会で集められた資金も、ジンバブエの団体に寄付される。参加者によっては1万円近くも抽選券を購入する人もあり、元の参加費用も合わせて寄付金は30万円近くにもなった。
チャリティーパーティーチーム代表の紺屋直子さんは「Come together。人のつながりを感じた。満足そうに『Great!』と声をかけてくれた参加者がいてうれしかった」と話した。
●アクションプラン模擬国連
アクションプラン模擬国連は、参加者がそれぞれに自分の担当国を持ち、その国のために一般市民である私達が出来る事を、他の参加者と共に考えるというもの。通常の模擬国連では最終決議案が採択されて終了となるが、今回のアクションプラン模擬国連では「支援計画(アクションプラン)」を立て、実際にその活動を行うことが最終目的。アクションプランがイマジン・ピース実行委員会に選ばれると、活動資金6万円が授与され、1年以内にその活動の実行が求められる。
参加者は国連加盟国数と同じく192人を集めた。最終目的は実際にアクションプランを実行することのため、話し合いやすさを考え、委員会を6つ設置。参加者はそれぞれの委員会で2日間に渡り、協議を続けた。このアクションプランには、協力者が3人以上いなければ成立しないというルールがある。そのため、「実行可能か、他の参加者を説得できる能力があるか」がポイントとなる。
マイクロクレジットによる支援計画を立て、活動資金6万円を手にした谷悠紀さん(京都外大・1年)は、「自分を褒めたい。責任を伴うけどやって良かった。今後は、もっと仲間を集めて一つに団結したい」と話した。
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