負傷者らにメルマガ配信
当時甲南大4年で就職活動中だった木村さんは西宮市の実家から大阪市の面接試験会場に向かうため事故列車の1両目に乗車し、JR福知山線脱線事故に遭っ た。マンションに衝突し狭くなった車内から自力で脱出した後、土煙により日光が遮られたため暗く、鉄が焼けた匂いが漂う事故現場の中で、それまで自分が 乗っていた電車に何が起こったかわからなかったという。事故により左すねの筋繊維を挫滅する怪我を負い、今も正座することや走ることができない。
事故が発生してから暫く、講演会などが各地で盛んに行われていたものの、遺族や負傷者などにそのことを大々的に知らせるものがなかった。そのような状況を 解消しようと、木村さんは事故関連の催しや活動をまとめた、「LEAN on ME」と名付けたメールマガジンを遺族や負傷者など事故に直接的に関わった人に向けて平成17年12月から月2回配信している。メールマガジンの名前は 1980年代アメリカで生まれ、大学時代に出会った歌の名前から取った。日本名で「寄りかかっておいで」という「歌名がメールマガジンの内容にマッチして いたから」(木村さん)。遺族や負傷者の精神的な抵抗を考慮して、催しや活動の内容を載せるだけで個人的な意見は一切載せていないことを特徴としている。 メールマガジン登録者は今も増加中で現在100名強を数え、最新号である37号を近日中に発行する予定。
大学を卒業し、現在、アルバイ トをしながら就職活動をしている木村さん。1人でも需要がある限りメールマガジンの配信を続けていくという。「遺族や負傷者にとって、事故が終わっていな いのに、世間では終わった事のように扱われてしまうことに不安や焦りを感じる」(木村さん)。だからこそ、事故について誰かが動いているということを知ら せるメールマガジンの配信を続けることは遺族や負傷者にとって救いの手となり、事故の風化を防ぐ手にもなる。
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