通学途中、事故に巻き込まれた三井さんは身体だけでなく心にも傷を負った。治療のために入院、休学した。大学に復帰してからは友人に、事故による心の傷 をどう話せばわかってもらえるのかと葛藤したことがあったという。電車には乗れるようにはなったものの、事故現場付近は事故を思い出してしまうため今も乗 車することができない。
しかし、三井さんに暗さは見られない。現在、学校での授業の他、陶芸サークルに参加したり、喫茶店でアルバイトをしたりと大学生として「普通」の生活を過ごしている。「大学が楽しい。色んな視点を持てるようになり、やっと大学生しているって気分」と三井さん。
   事故で気づいたことがあった。「事故前は当たり前だと思っていた生活や家族は、実はありがたいもの」。当時の記憶は三井さんにとって思い出したくないもの であるが、忘れてはいけないもの。「誰がいつ事故に遭ってもおかしくない。(事故が第三者にとって)無関係ではないということを伝えたい」と話す。
   大学生として、三井さんは「もっと色々なことをしてみたいし、やらなきゃならない」と前向き。「周りの人たちに感謝しながら、一生懸命生きていこうと思っています」と話す三井さんの言葉は、「普通」の生活を過ごせることの重みに気付かせてくれる。