能登半島地震被災地で足湯
神戸大からは阪神・淡路大震災を機に設立された神戸大学学生震災救援隊のメンバー5人が、阪大からはボランティアサークル大阪大学from HUSの2人が中越・KOBE足湯隊に参加した。足湯隊は車2台で能登半島へ向かい、7日の朝から避難者の多い石川県の輪島市門前町、穴水町に1台ずつ分かれ、避難所各地で足湯を行った。
「えちゃけなーの意味分かる?」、「え、わからないです」。「穴水ではかわいいっていう意味なんですよ」、「あそうなんですか」。被災者の山岸きみ子さん(75)と足湯隊の是恒安紀子さん(人科・3年)の弾む会話。約50人の被災者が避難生活を送る、穴水町のニューキャッスル真名井では7日の午前と午後の2回、8日の午後に足湯が行われた。足湯隊メンバーは、ぬるま湯に足を浸した被災者に1対1で手や腕のマッサージを行いながら会話をする。足湯の最たる目的は被災者とコミュニケーションを図り、被災生活の本音、健康状態を拾っていくこと。是恒さんは「被災者と密なコミュニケーションをとるため、意識的にこの土地の風土、文化などの話題にしようと事前に考える」と話す。足湯後、山岸さん は「地震で恐ろしい思いをしたけど、足湯でこんなにいい思いができると思わなかった」と笑顔。穴水町の避難所3か所を毎日巡回している高野信子さん(66)は避難所に足湯を紹介した。高野さんは「足湯を受けた人はみんなよかったと言っている」と話した。
足湯後、メンバーは被災者の悩みや、話した話題について逐一つぶやきカードに記録する。避難所には60歳以上の高齢者が圧倒的に多い。震災による虚脱感、後片付けによって蓄積する疲労を訴える避難者も。約40人の避難者が生活する門前ビューサンセットに入居中の山本芳雄さん(77)も地震の被害に合った。山本さんは現在一人で自宅の清掃を行っているが「もう家に住めない。体は元気だが精神的につらい」と話す。さらに片づけの最中に水道管が一つ破裂し使えなくなった。「修理しようにも部品がない」と漏らす。
今後、メンバーが書き留めた記録を基に、被災者が抱く共通の悩みを把握し、どのような支援活動を行うかを検討する。今回の足湯隊リーダーの益本禎朗さん(神戸大・4年)は「一人ひとりのつぶやきを聞いて自分達に何ができるかを考えていかなければならない」と話す。また、能登半島での支援活動については「できるだけ継続していきたいが、どのぐらいの規模で通えるかが課題」とした。
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