初挑戦に京都の学生ら団結
今回の展示会は、2月18日のオークション当日に向けての「お披露目」だ。京都の芸大生らによる77作品が展示され、作者本人による鑑賞者への作品解説などが行われる。ユニークな改造自転車『チャリーズエンジェル』の作者、山本昴冶さん(京都造芸大・3年)は「最初は、造形のみのオークションだと思ってた。フタを空けたら絵が多くて、浮いてる感じがしましたね」と苦笑するも「作ってて本当に楽しかった。学校だけじゃなくて、一般の人に見てもらえるのが嬉しい」と話し、「本番は、作品の魅力が伝わるように(オークション参加者へのプレゼンを)頑張りたい」と意気込んだ。井崎智子さん(京都造芸大・3年)は『包まれる』の作者。同作品は数百個の白い陶器と1個の黄色い陶器、そして鑑賞者自身からなる。それぞれの陶器が1人の人間を意味し、黄色の陶器は鑑賞者自身を意味する。鑑賞者は黄色の陶器(自分)を白の陶器(他者)のどこに置くかを決めることで、自分が周囲とどのようにして折り合いを付けているのかを再認識するのだ。実際、展示会では鑑賞者に黄色の陶器を置いてもらい、それを井崎さんが写真で記録。オークション当日に発表するという。その意味で、同作品はまだ「製作途中」だ。井崎さんは「この作品はオークションには向かないかもしれない。いろんな人に見て、触れてもらうのが目的なんです」と笑顔で話した。
芸大生が自分の作品を学外に発表する場は限られている。自分で展示会を開催することもあるが費用がかかり、学生にとってはハードルが高い。展示会に訪れた鈴木瑞穂さん(京都造芸大・2年)は「(オークションは)どのような基準で値段がつくのか。そこが曖昧でわからないという学生もいるのでは」と話す一方、「今までは社会とつなっがっている感じが希薄だった。ある意味で希望の光。こういうのがどんどん増えていけば」と話した。
同オークションには、一般大学に通う学生もスタッフとして企画、運営に携わっている。日本初の学生アートオークションに、京都の学生が団結した形だ。「芸大生が作品を外に発信する機会は少ない。この企画がきっかけになれば」とは学生スタッフの佐谷岳穂さん(立命・2年)。今回の企画のように、鑑賞者が作者と実際に会って話すことのできる場は少ない。話すことで「印象に残るし、作品にも思い入れができる」(佐谷さん)。
同オークションの詳細については大学コンソーシアム京都HP(http://www.consortium.or.jp/student/artauction/index.html)で。
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