在学証書は容子さんが同大学で学んだ証として贈呈された。在学期間や取得単位数が書かれており、卒業証書の様式となっている。母・栄子さんが容子さんの遺影を抱え二人でステージ上に登壇し、学長より在学証書を受け取った。
 学園理事長は祝辞の中で「奥村さんの願いもしっかり心に留めて」と話した。式後半、一同で起立して「送別の歌」が歌われた。両親は涙を流しながら他の卒業生らとともに合唱した。
 容子さんの父・恒夫さんは在学証書を手に持ちながら「卒業証書と同じ価値だと思っている。私とあの子にとっての宝物だ」と話した。
 式終了後には体育館前で史学科の卒業写真撮影が行われ、両親も同席した。また、容子さんと同じゼミのメンバーの寄せ写真が記念品として、容子さんの友人から両親に贈呈された。
 卒業式について「この子の思い出はここに残るという意味では素晴らしい日だった」と振り返った。しかし事件から約11か月が経った今でも、容子さんの死は信じられないと話し、「(つらい)心境は変わらない」と娘への思いを募らせた。報道陣からのJRに対するコメントの要求にも口を濁した。
 本来は祝いの日となる卒業式も、残された遺族や知人の複雑な心境を抱えたまま幕を閉じた。